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JICAが造船技術者養成=4年で1千万レを人材投資

ニッケイ新聞 2013年12月10日

 全国工業関係職業訓練機関(以下、SENAI)と日本の国際協力機構(以下、JICA)が造船業におけるブラジル人技術者の養成に関する協定を結んだ。アジェンシア・ブラジルが報じた。JICAは技術者の養成、船舶工学の専門家の募集、生産管理等のために、4年にわたり一千万レアルを出資する。
 人材養成はリオ・グランデ・ド・スール、リオデジャネイロ、バイーア、ペルナブコの4ヶ所のSENAI校で行われ、過去3年間に当地の造船業に16億レアルを投資した日本企業3社のもとで働く人材を育てる。現地での良質な技術者の不足が、技術提供を行う動機となった。
 ブラジル工業連盟(CNI)によれば、リオデジャネイロの一般的な機械工の平均的月給は3700レだが、職業教育によって得られた技術や専門性によっては、造船所での月給が1万1000レになる可能性がある。今後進むであろうブラジル沖深海油田開発等に伴い、必要となる造船の分野において技術者の需要が高まっていることも、給与水準の高まりを後押ししているようだ。
 SENAI関係者と、愛知県名古屋市に所在する日伯学園の篠田カルロス校長が6月に、サンパウロ市のブラジル日本商工会議所を訪れ、同校にSENAIのコースを併設することについて意見交換を行った。具体化すれば、帰伯するデカセギ子弟にとって就職活動に貢献する一方、ブラジルへ進出する企業に対する人材強化や社会貢献につながると期待できるとのこと。
 帰伯者の現状はなかなか厳しいが、新たな雇用を生み出す契機となることが期待されている。

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