ニッケイ新聞 2012年9月18日付け
西城さんは1972年に「恋する季節」でデビュー。郷ひろみ、野口五郎に並ぶトップアイドルで、「絶唱型」と呼ばれる独自の歌唱法や派手なアクションでも注目を集めた。NHK紅白歌合戦連続出場のほか映画、テレビ、舞台、海外公演、執筆活動等で活躍する。
2003年に脳梗塞を発症し、歌手として致命的な構音障害を患った。リハビリで復帰するも、昨年12月に2度目の脳梗塞を発症、右半身麻痺の後遺症が残った。
14日に開かれた記者会見では少し足を引きずりながらも、「体は大丈夫」と明るい笑顔を見せ、「ブラジルには人生で1度しか来れないと思っていた。23年ぶりに同じ場所でショーをするなんて滅多にない。23年前のファンともう一度会えるドラマを大切にしたい」と思いの丈を語った。
16日、コンサート会場は約4千人の客でひしめいた。日系人歌手らによるミスター・サマータイムで開幕、西城さんのヒット曲「情熱の嵐」で登場した本人を、会場は大歓声で迎えた。
第1部では、西城さんは40年ぶりに歌うというデビュー曲「恋する季節」や「抱きしめてジルバ」など代表曲を披露。日系人歌手もそれぞれの十八番で当地の歌唱力を見せ付けた。
西城さんが「20年前に20歳だった人は、大人になってますよね」と語りかけると、会場からは「私53歳!」など返事が飛び交うなど、大いに盛り上がった。会場の生き生きした反応に「みんな気持が熱い。拍手一つにもそれを感じる」と手ごたえを喜んでいた。
第2部の独唱ステージでは、「サンタマリアの祈り」など10曲を熱唱。最大のヒット曲「ヤングマン」では、後遺症を微塵も感じさせない迫力の声量とパワーを見せ付け、参加者も全員総立ちで「Y・M・C・A」を全身で表現、幕が閉じた後も拍手が鳴り止まなかった。
23年前にもショーを見に来たという松永久美子さん(65、二世)は、「子供の青春時代、集まる度に西城秀樹の曲を歌って踊ったのが忘れられない思い出」と話し、原エレーニさん(27、三世)は「鳥肌が立った」と感想を語った。