「受賞できたのは、先輩方のお陰。今後は世の為に尽くしたい」―。受賞者が口々に語ったのは、受けた恩を次世代に還元したいという恩送りと『公』の精神だった。
陸上部門で受賞した安永祐動さんは「恩を受けて終わりではいけない」との思いで、日系幼年陸上協会の設立に尽力した。だが「家庭が一番の基盤。自分の家からしっかりとしていなかければならない」と語る。
『公』の語源を遡ると、『大宅』に辿り着く。即ち、大きな家という家族単位が、天皇・朝廷、さらに公共の意味に転じ、そのような精神こそが日本の歴史を形作ってきたと言える。
表舞台で活躍する現役選手も、その競技を陰で支える役員ら功労者も、共に大事にしてきたのがこの『公』の精神だった。私利私欲にまみれ汚職が横溢するブラジルにあって、日本文化の輝きをかいま見たような気がした。(航)