ホーム | 文芸

文芸

安慶名栄子著『篤成』(3)

 私は、安慶名篤成と同様に1世移民としてそれぞれの苦難を生きてこられた皆さんに本書の一読をお薦めしたい。  またブラジル生まれの新しい世代の皆さんにもポルトガル語版で是非とも一読されますようお薦めしたい。  一世移民の苦難を共に生きてきた子弟が書き綴った本書は、どんな困難の中にあっても家族の絆は如何にあるべきかを問い、そして人は ...

続きを読む »

安慶名栄子著『篤成』(2)

 私は安慶名栄子から、この本を沖縄の親戚の皆さんに父の足跡を知って頂きたく日本語に翻訳したい、という相談を受け、早速宮原ジャネ朋代にお願いして出来上がった翻訳文を一気に読みました。いや、引き込まれるように読み続けずにはおれませんでした。読み終わって後も感動の波が私の胸の中に波打っていました。  その名も知らない故安慶名篤成の足跡 ...

続きを読む »

安慶名栄子著『篤成』(1)

《はじめに》  メロ・クラレッテ 【無料朝刊サービス登録】PDF版へのリンクに加え、毎日の新しい記事の見出しだけを、本文ページへのリンクをつけてメールで無料配信しています。メールアドレスを書き込み、「申し込み」ボタンを押すだけです。メールチェックのついでに気になる記事をクリック! 想像もしなかった道を進み、ついに実現されようとす ...

続きを読む »

中島宏著『クリスト・レイ』第152話

 マルコスのように、このブラジルしか知らない人にとっては、なかなか想像しにくいことかもしれないけど、国を移す、移民するということは、大きな世界が開けると同時に、後にして来た国から脱却する痛みというものが伴うの。それは表面的にはなかなか見えない分、重いものがあるけど、しかしそれは、移民にとって避けて通れない道でもあるわね。  後に ...

続きを読む »

中島宏著『クリスト・レイ』第151話

 それはたとえば、日本から来た農業移民の人たちが、この植民地のようにまず自分たちだけで固まって、同じ所を開拓して農場を造っていくということにも似ているのじゃないかしら。彼らにとっては、その方が安心だし、同じ国から来ている気心の知れた人たちと一緒に仕事をすれば、間違いないという考えがあるから、結局、こういう形のものが出来上がってい ...

続きを読む »

中島宏著『クリスト・レイ』第150話

 それは、以前にマルコスも指摘したように、このブラジルでのカトリック教会にあるキリスト像とは、変わるはずはないのだけど、現実にはしかし、そこには厳然とした違いがあるわけね。 こんなことを言ったらおかしいかもしれないけど、私たち隠れキリシタンが持つキリスト像は、他の教会のものとは違うということね。同じキリスト像がなぜ違うのだと聞か ...

続きを読む »

中島宏著『クリスト・レイ』第149話

 逆境の嵐の中で、自分の進路を変えることなく生き続けるということは、並大抵の精神力ではできないことでしょう。もちろん、強風に応じてそれなりの対応を心がけながら凌がねばならず、常に一定方向に進んでいけばいいというものでもないでしょうし。その辺りの柔軟性というか、駆け引きの呼吸も分かっていないと、ちょっとした隙から一度に強風に煽られ ...

続きを読む »

中島宏著『クリスト・レイ』第148話

 じゃあ、自分たちは、この国の土になるのかということだけど、まさにその通りということね。私たちは最初からそういう考えで移民して来ているし、それが本来の移民だというふうに信じてもいるわけね。 そういう発想は、日本を中心にした考え方から見れば、ちょっと理解しがたい雰囲気があるかもしれないけど、しかし、目をもっと広いところに移せば、そ ...

続きを読む »

中島宏著『クリスト・レイ』第147話

 私はそう言って笑って答えたんだけど、本当はその場で思い切り泣きたい気持ちだったの。でも、良かった。こういう父と母に育ててもらって本当に良かったし、私はとっても幸せだったと思ってる。  私がブラジルへの移民を思い立ったのは、さっきの説明通りだけど、じゃあ、今村町の人たちはどうだったかというと、私の叔父も含めて、その事情はもっと切 ...

続きを読む »

中島宏著『クリスト・レイ』第146話

 アゴスチーニョ神父もおっしゃっていたように、師範学校で学んだことは私にとって、すごく重要だったし、世の中の諸々のことを見据えるという点で、大きな意味を持つものでもあったわ。あの学校で習ったことは、もちろん、知識を吸収するという目的もあったけど、同時にまた、いかに勉強するかという、その方法を学んだといえるわね。全般的なことをただ ...

続きを読む »