マナウス

 アマゾン川の中心には、カオスに満ちた町マナウスがある。ホンダのバイクが街を駆け抜け、トロピカル・フルーツと独自の風味を誇る地域の料理、ゴム景気の繁栄が伺える豪奢な建築物が魅力のこの町を囲むのは、〃地球の肺〃ともいわれるアマゾンの熱帯雨林――。主力のサッカーチームがないこの地にスタジアムを建設し、開催都市のひとつにするには多くの議論があった(結果としてなった今もある…)が、マナウスの観光地としての魅力は、疑いの余地を残さないものだ。
 そんなマナウスに3日間滞在する人にお勧めしたい散策コースを紹介する。

■1日目

アマゾナス劇場。ピンク色の外観が目を引く(Embratur/ Portal da Copa)

アマゾナス劇場。ピンク色の外観が目を引く(Embratur/ Portal da Copa)

 サン・セバスチャン広場には歴史的な建設物が並ぶ。いわずと知れたアマゾナス劇場は1882年に着工、14年後の1896年に落成した。ガイド(10レアル)の説明を聞きながら中も見学できる。月曜日から土曜日まで毎日あり、予約は必要ない。ヨーロッパの劇場に負けず劣らずの立派な舞台はもちろん、2階の貴賓室の天井に描かれた美しい絵画もぜひ観ておきたい。
 隣には、2006年まで裁判所として機能し、ルネッサンス期の建築様式で建てられた文化センター(Centro Cultural Palácio da Justiça、1900年設立)があり、そこでは映画の上映室や常設・特別展が開かれている。
 そこから数ブロック離れたリオ・ネグロ宮殿(Palácio do Rio Negro)も文化センターで、マナウス市内で最も古いとされる1875年設立(2009年に改修)のPalacete Provincialは100年以上も州の軍警の兵舎だったが、今では中に5つの美術館を擁する建物となっている。

 お腹がすいたら、サン・セバスチャン広場に戻ってマナウス名物スープ「Tacacá da Gisela」を賞味してみよう(参考HP=vejabrasil.abril.com.br/manaus/comidinhas/tacaca-da-gisela-31626)。トゥクピー(マンジョッカから抽出される黄色い汁)は塩、玉ねぎ、にんにくなどで味付けされ、乾燥エビが入っている。熱々でしかもスパイスの効いた独特の味はやみつきになるかも。
 アマゾン川の支流ネグロ川沿いを散歩すると、無数の船やヨットが行き来する光景や、アマゾン川の各地から持ち込まれる色々な品を売る露店が目に飛び込んでくる。1880年にできた歴史ある市場Mercado Adolpho Lisboaは最近改修されたばかりだ。

■2日目

 せっかくマナウスに来たなら、アマゾン川を船で渡ってみよう。有名なネグロ川とソリモンイス川の合流点はマナウスから10キロ地点で見られるが、それだけを見に船に乗る価値はある。
 アマゾン川の水の色は支流によって変わる。ソリモンエス川は薄い黄褐色の水を流しており、その特徴から「白い川」、ネグロ川のネグロは黒を意味し、その名の通り薄いコーヒーのように黒味がかった色をしている。
 このような水の色が異なる支流が合流する場所では、川面に二色がぶつかり合う情景が見られることで有名だ。並行する白と黒の水がなかなか混ざり合わず、6~18キロ(時期によって異なる)程度まで流れていく景色を楽しめる。二つの川に実際に手を入れてみると、温度が違うことがわかってとても面白い。
 多くの旅行代理店がツアーを行っているが、Amazon Explorers(http://amazonexplorers.tur.br/)、Fontur(http://www.fontur.com.br/)だと140レアル前後だ。
 ツアーには島と島、島と陸地の間の狭い水路を渡ったり、コミュニティを訪ねたりするプランを含むものもあるので、1日かけてアマゾンを満喫できるだろう。
 夜は、イルミネーションで彩られたポンタ・ネグラ海岸でゆっくり過ごすのもお勧めだ。

■3日目

 「旅程が厳しくアマゾンクルージングに出る時間はない。でもアマゾンの自然を感じたい」―。という人にお勧めなのが、市内にある「自然科学の森」(Bosque da Ciência、HP=bosque.inpa.gov.br/)だ。アマゾン地域の独特の動物相を知ることができるCIGS動物園(住所=Estrada da Ponta Negra, 750, 13 km – São Jorge)もぜひ行ってみたい。
 少し市外に足を延ばすと、他にも見所はある。マナウスから107キロのプレジデンテ・フィゲイレード市は滝がたくさんある場所で有名だ。同市内には、ガイドを伴わないと入ることができない「マロアガの洞窟」、「ジュデイアの滝」という場所もある。どちらに行くにも水がかかるので、濡れてもいい格好をしていくのがベターだ。
 また、ネグロ川流域に位置するアマゾン盆地で最大の国立公園「ジャウー国立公園」には未開の自然が残されていることで有名だ。個人で行くには困難なので、マナウス市内の旅行代理店に問い合わせてみよう。

参考URL

マナウス市役所のHP
http://cultura.manaus.am.gov.br/1054-2/