アレナ・フォンチ・ノーバ (Foto: Carol Garcia/ GOVBA)
アレナ・フォンチ・ノーバ (Foto: Carol Garcia/ GOVBA)

サルバドール

ニッケイ新聞 2013年8月20日

 ポルトガル語で「救世主(Salvador)」を意味する、北東部最大の都市、バイーア州州都のサルバドール。大西洋に面した歴史ある町だ。

 ポルトガル人のペドロ・アルヴァレス・カブラル率いる遠征隊がブラジルを〃発見〃してから約50年後の1549年に建設が開始された、ポルトガル植民地時代の最初の首都。国内の主要貿易港として発展し、砂糖産業と奴隷貿易の中心地として栄えた。

 リオに1763年に遷都されるまで首都だったサルバドールは、その繁栄の面影を旧市街地に残しており、「サルバドール・デ・バイーア歴史地区」として世界文化遺産に登録された。

 一番の観光スポットともいえる「ペロウリーニョ広場」にはかつて奴隷市場だった建物も残っており、カラフルな建物、石畳の坂道はヨーロッパらしいとも言い難い、独特の美しい街並みを作り出している。

 砂糖産業の労働力として強制的に連れて来られた黒人奴隷がもたらしたアフリカの影響が色濃く反映されており、建築、料理、音楽、宗教などに現れる独自のアフロ・ブラジリアン文化の宝庫だ。黒人密教カンドンブレ、武道のカポエイラを体験したい人は、ショーを行ったりしている店もあるので、入ってみてもいいかもしれない。

 市内の観光スポットの一つ、1873年に建設されたというエレベーター「Elevador Lacerda」は、公共交通機関。約80メートルの高低差がある海側の下町(Cidade Alta)、山側の上町(Cidade Baixa)をつなぐ大切な市民の足だ。Lacerdaとはエレベーターを設計した建築家の名前。63メートルに及ぶエレベーターに乗って下降する間、下町、その背景にある美しい海岸線が望める。

 また、忘れられがちな側面だが、サルバドールは宗教色の強い町だ。市内には365もの教会があり、中でもバロック様式で建設されたサンフランシスコ・デ・アシス教会は「黄金の教会」の名で知られ、ほとんどが金粉で塗られた内装は圧巻だ。

 他にも、バーハ海岸の岬に造られたバーハ要塞はサルバドール最古の建築物のひとつ。軍事施設として建てられたものの、現在は灯台として機能しており、内部は博物館となっている。

 W杯の試合が行われるスタジアムはアレナ・フォンチ・ノーバ。前のスタジアムを取り壊して行われた工事は2年8カ月かけて今年5月に完了しており、収容人数は5万人だ。

 サンパウロからは飛行機で2時間半(乗り換えなし)で行くことができる。