文芸
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(7)
おやじは、児玉機関と称せられ満州・朝鮮に君臨してた児玉誉士夫のお抱えマッサージ師をしていた山下氏と懇意になり、同盟通信の記者をしながら、その余得で事業を起こした。 記者と云っても実情は、ゆすりたか
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(6)
なんでも、子供の頃に蛍狩りで蛍の居ない方に向かって走るので、親が眼の悪いことに気付き、小さい頃から眼鏡をかけるようになったとか。厚いレンズのせいで、目つきが悪く見えるのだが、素顔は実に人のいいおっさ
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(5)
さすがの仁科も、ひるんだのか引き揚げた様子。 この話を翌日、朝食をとりながら聴いていた永岡が憤然と立って出て行った。しまこが後を追ったが、うつむき加減に引き返してきた。二人の間が終わりになったらし
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(4)
サラリーマンの最も悪い癖は、会社が面白くないとか仕事に不満があるとか、赤提灯で愚痴をこぼすことや。 会社が面白くないなんて云わずに、会社を面白くすればいい。おやじや課長連中も寮生も「ハナさんが今度
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(3)
話題は、もっぱら女の話で「おま××」と言う言葉が何回とび出すことやら。 女子社員が聞いたら、おやじも我々寮生も馬鹿にはされなくても信頼されへんのんは明白や。 ネクタイはじめ靴下や下着まで共有とな
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(2)
その高倉も、あれから40年間で事業にも成功し、個人的にも目標の千人斬りも果たし、アメリカで暮らす孫に毎年会いに行く悠悠自適の生活送っとる。 物置には酒が常に山積み。単身赴任の例に漏れず、毎晩のよう
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(1)
(一)九州の仲間達 ブラジル東北地方最大の都市レシーフェにトロリーバスを導入された伊藤さんは、終戦直後に訪日したが、廃墟と化した焼け野原の祖国の姿に呆然とし、日本は滅びたと失望してブラジルに戻った。
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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(0)
【編集部】本日から小説『繁田一家の残党』の掲載を開始する。著者はカナダ在住で元ブラジル移民の丸木英朗(マルキ ヒデオ)さん。ペンネームはハナブサ・アキラ(英朗)だ。 昭和10(1935)年元旦生ま
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キノコ雑考=ブラジルに於けるキノコ栽培の史実とその背景=元JAIDO及びJICA 農水産専門家 野澤 弘司 (23)
ここまで記述して過去を振返ると、私の移民当初の生業が、巡り巡ってキノコ屋稼業になった事は、文字通り運が7分実力3分の生き様で誠に恵まれた第一歩を踏み出す事ができた。 そして今日迄の運命の分岐点とな
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キノコ雑考=ブラジルに於けるキノコ栽培の史実とその背景=元JAIDO及びJICA 農水産専門家 野澤 弘司 (22)
各議題の審議の結果はどのように議決されたかは知る由も無いが、アガリクスの生産も流通も既に破局を迎え、誰も観客の居ない舞台で今更一体誰に向けて、また何の為に反応の無い決議事項を披露したのか、単に世間体