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繁田一家の残党=ハナブサ アキラ=(18)

 「ふとか儲けさせてもらったけん・・・」と謝礼と記した封筒を掴まされたので開けたら10万円入ってた。当時月給が5万円、こりゃボーナス並みの金額。早速、亀さんに返金して、おやじに相談したら、俺から話しておくと諭され、今度は亀から岩田屋の商品券を貰った。
 ワイが技術屋やったらオランダのフィリップスに入れてやるとか、云うとったけど、亀さん未だ顔が利き、あの頃でも未だ現役で晩年ではなかったんやな。
 日本フィリップスには菅原さん、奈佐さん、それに麻植もスカウトされよった。菅原さんは、こないだの同時多発テロ事件に巻き込まれ、命からがら日本に帰って来た。見せてもろたアルバムにはボストンのローガン空港の待合室で主犯のモハメッド・ハッタが写っていた。
 奈佐さんは大学の先輩でもあり、会社の帰りに梅田地下街の串かつ屋「安兵衛」で、よう安酒を飲ましてもろた。
 「このX線体腔管治療装置はなあ、我々男の目標の穴に突っ込んで・・・」と奈佐さんは据付に連れて行ってくれた。ワイはこの装置の取扱デモには興奮気味でうきうきしてた。
 池田は、ワイの後任として大分に駐在したり仙台に転勤したり、ふらふらした後、以外にも宗像神社の近くで画廊を開いて、今や九州では名の知れた画伯や。
 九州唯一の医療機メーカー・セルコムの是永哲也氏は、天津からの引揚者で低周波治療装置生産額では世界一。ドイツから技術導入した水流マッサージベッドの製造にも成功。
 夫人の須満子さんは小野清子と競った元・体操選手。今尚その引き締まった身体は、ダンスすると背中に当てた手を通して低周波が伝わってきて、ワイの夜泣く蟲が上を向く。
 セルコム・メデイコ社長をしている美人の須満子さんは、日本女性起業家協会の一員として米国のウーメン・アントルプレナー事情視察にニューヨークに出張された。
 雑誌「経済界」がアメリカで英文誌を出版する準備を兼ね、GEに取材に来られた同社副社長の河野実氏は「GEは仕事のスケールが桁外れに大き過ぎて、日本の読者の間尺に会わず感覚的に無理だなあ」と、云われたので話題を変えた。
 なにしろ、1989年のルーマニア革命のシナリオやイラン・コントラの裏話、なにしろ米国でも有数の軍需産業だから、いろいろ、からんでくる。
 そこで話題を変え、福岡にセルコムという伸び盛りの医療機メーカーがあり、アメリカ進出を目指し今ニューヨークに来てると紹介したら、河野さんセルコムを「ゼロからの出発」シリーズの記事にした。
 このベートーベンのような髪型で、元・音楽の友編集長の実(マコト)さんは“マコ、我儘ばかり言ってごめんね、ミコは神に召されて逝きます”日本全国の女性を涙に誘った“愛と死を見つめて”の当事者本人や。
 彼をモデルにし経済界を舞台にした小説「濁流」を夏堀正元が書いている。
 鳴りを潜めた、もう一人のマコト・べ平連の小田実に成り替り、今やベトナム復興に尽力する活動家。
 おやじが九州に赴任してきた頃は、ゴルフは今のようにポピュラーなスポーツでなく金持ち老人のエリート遊びだったが、戸田プロ直伝のおやじは支店の全員にゴルフを奨励した。

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