樹海

 朝晩冷える毎日だ。日本から来たばかりの末端冷え性の知人は、寒い季節が恐いらしいが、「このくらいなら天国」だとか。とはいえ当地に慣れてくると、この程度の寒さでも身が引き締まる。そして新聞紙面に見かける温かい言葉にも敏感になる。7月の言葉から▼すでに4年。東日本大震災が人の口に上ることも少ない。だが、まだ自宅に帰れない被災者がいることを忘れたくない。「ブラジルから元気を届けましょう」。震災の翌年から、ブラジル日本交流協会生らが日本祭りで「布地蔵」を販売している。昨年は早々に売り切れた。同祭で震災支援をする団体は唯一かも。売上金を被災地に届ける小さな善意は続く▼「県人で良かった」。広島県人会は、同郷である中前隆博・在サンパウロ総領事夫妻を会館に招いた。ささやかながらも心のこもったもてなしに、夫妻は終始笑顔。日本国外唯一の神楽団が舞った「恵比寿」、広島弁での口上には大喜び。楽屋で演者に声をかけ労うほど。こういった交流は、どの赴任地でもなかったようで雅子夫人大感激一言だ。会員らの喜びも一入▼「先生も喜んでくれている」。移民の父、上塚周平の80回忌がプロミッソンであった。〃墓守〃安永忠邦さんによれば、80年前の葬儀のさい、渋滞で間に合わなかった人もいたとか。没後これほど長く惜しまれる人も少ない。人のためになにかすることを学んだという忠邦さん、それを守る安永ファミリーの思いあってこそ▼今週末は「第18回日本祭り」。美味しいものを食べ、思わぬ再会で温まってほしい。そして何より日本晴れならぬ、日系晴れを望みたい。(剛)

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