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日系人口は190万人で統一を

分布表 ブラジルの日系人口は何人なのか――。本紙は通常「150万人」を使ってきた。だが、日本国外務省のブラジル基礎データ頁(22日参照)には「日系人総数推定・約190万人」に加えて「在日ブラジル人数・約17万4千人」とあり、合計すれば「約200万人」だ▼一方、海外日系人協会のサイトには、海外日系人数として全部で350万人中、ブラジルは160万人とある。つまり「150万人」「160万人」「190万人」とバラバラに使われている状態だ▼一番厳密な人口調査は、移民50周年(1958年)のブラジル日系人実態調査(鈴木悌一委員長)だ。何といっても全数(全戸)調査だからすごい▼その報告書によれば当時の日系人口は43万0135人だ。州別分布(25頁)では、最多は聖州で32万5520人(76%)、次いでパラナ州の7万8097人(18%)、3番目が麻州(南麻州と分離前)の8886人(2%)、4番目がリオ州の5803人(1・35%)、5番目がパラー州とアマゾナス州その他アマゾン地方準州の5227人(1・21%)、6番目がミナス州の2878人(0・67%)とあり、この比率がその後の基準になった▼次は移民80周年で人文研が1987~88年に行ったサンプル調査で「122万8千人」という数字を発表した。これが最後の学術的数字だ。これに人文研がその後の人口自然増を追加計算して2000年頃に発表した数字が「150万人」。その後も自然増させて「160万人」が一人歩きしていた。加えて在日ブラジル人の17万人が、150万人に入るのか、別なのか―という疑問もあった。これは日本のデカセギ研究者に聞いても分からなかった▼ちなみにウィキペディア(22日参照)によれば、駐伯イタリア大使館は2013年時点のイタリア系子孫を「3千万人」と発表している。なんと伯国人口の15%、7人に一人はイタリア系となる。イタリア移民は150万人(1870年から1930年頃が中心)だから、ネズミ算的な人口増加率といえる▼アラブ系子孫(シリア、レバノン、イラク、イラン、パレスチナなど)の人口は現在「1200万人」といっているが、最もアラブ系人口が多かったといわれる1920年でも5万人しかいなかった。それが1千万人越え、イタリア系の半分近い数字を自称している▼ちなみに移住者数が最も日本移民に近いドイツ移民(26万人が入植)でも「500万人」と主張している。彼らの移住開始は1824年と古いとはいえ…▼いずれにせよ、日系人の「150万人」というのは少し〃つつましい〃数字すぎないだろうか。そんな疑問をいだきながら10年、15年とズルズル過ごしてきた。その間も当然、日系人口も増えているはずであり、歯ぎしりするような思いだった▼昨年来、梅田邦夫大使の音頭取りで「190万人」という数字が出てきたのは、実に喜ばしいことだ。日系人が何人いるのか―という問題は、自己認識にも関わるとても重要な問題だ。それに、日系政治家が日系社会からの要望をブラジリアで代弁する場合、大きな数字のほど説得力がある。特定の商品を日系社会からブラジル社会に広げる経済効果を計算する場合、日系人の発展具合を歴史的に検証する場合など、いずれも日系人口を基礎にして論が組み立てられる。今後は「190万人」で統一しませんか。(深)

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