八月だけで猛暑のために約一万人が死んだといわれるフランス。その多くが一人暮らしの老人だった。中には「休暇中だから、母の遺体を引きとりに行けない」と病院に連絡してきた息子もいたそう。全仏で身元不明の遺体が数百体もあることに「国の恥だ」と書きたてた新聞もあったとか。
同国では、多くの老人が独り暮らしを自ら選択している。ある電子新聞で七十五歳のフランス人女性はこう語った。「老後を一人で安心して暮らせる社会は福祉が行き届いているというけど、逆に老人へのいたわりはなくなるし、老人も誰の世話にもならないと強がって生きているのは皮肉ね」。
その女性は「年寄りも悪いのよ。自己中心的だから、誰も近寄らないのよ」と続ける。先進国ゆえの悲劇とばかり言えないものがありそうだ。みなさんの周りはどうですか? (深)
03/09/10