ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

2007年4月21日付け

 米大学の32人射殺も残虐だけれども、長崎の伊藤一長市長を背後から銃撃し殺害した事件も無惨にすぎる。拳銃2丁で教授を殺し学生らを一列に並べて虐殺まがいに銃弾の犠牲にしたチョ・スンフィの狂気は世の常識を超える。韓国人のチョは8歳のときに移住し大学に進んだのだが、無口で幻想的な脚本を書いていたらしいが、今回の悲劇も悪夢のような怪奇性を持つ▼ブッシュ大統領は追悼式典に参加し「今日は米国全体にとって悲しみの日だ」と述べ犠牲者の冥福を祈った。アメリカは銃保持か所有禁止かの政治議論が盛んで激しい意見もでるが、最終的な決着はついていない。ブラジルでも同じであり、あれだけ政府が禁止運動をしたのに国民投票の結果は保有派が圧倒的な強さで大勝利だったのは記憶に新しい▼ご存知のように―日本は個人的な所有を禁じている。それでも、近ごろは暴力団が多く所持しており、銃器を使った攻防が繰り広げられている。その1丁が山口組系水心会の幹部である城尾哲弥に渡り市長銃殺となった。市とはトラブルがあったらしい。だが―、選挙中の市長を殺す理由にはならない。最も忌むべき凶行で許せない蛮行と責めるしかない▼古くは井上日昇の「一人一殺」があるし、戦後では17歳少年の山口二矢よる浅沼稲次郎刺殺がある。安保改定の岸信介も腿を刺されたし、日本ではこうした事件が多い。悲しいことだが、こうした無謀なテロから正しい政治は生まれないし育たない。ただ無為な混乱を招くだけであるのは歴史の教えるところであって―、暴力を排除するの信念と心をさらに強めたい。    (遯)