連警のラヴァ・ジャット作戦は次々に新しい情報が飛び出し、ペトロブラス(PB)を巡る大型汚職はとてつもない広がりを見せている▼そんな中、最近気になるのは、2009年に国庫庁が違法性を指摘した事で連邦議会がPBの4事業の停止を決めたが、翌年1月に当時のルーラ大統領が拒否権を発動して事業を継続させたという報道だ。議会側はその3日後に事業を継続させればPBに甚大な損失を与えかねないと警告したが、前大統領は、「事業を止めれば数万人が雇用を失う」として正当化したという▼失業者が出るとの理由は尤も至極だが、現在の様な形でPB内の膿が噴出したらもっと深刻な事態になるとは考えられなかったのか。否、それよりも、選挙のために裏金が必要となる年にPBと契約した企業からの賄賂が入らなくなる事を嫌ったのではないか▼複数政党に賄賂が流れていたのはメンサロン事件でも同様だが、PB汚職はメンサロンとは比べ物にならない大金が動いている。更にラヴァ・ジャットの報償付き供述者のパウロ・コスタPB元供給部長が09年、国庫庁が議会調査委員会にPB関連の事業停止を勧めているという内容のメールを官房長官室に送っていたとの報道も▼当時の官房長官はPB経営審議会議長も務めていたジウマ現大統領だ。パサデナ製油所買収問題では「書類の不備故に大損をするような買収を認めた」とのたもうたジウマ氏だが、元供給部長のメールは何を意味するのか。ルーラ氏が拒否権を発動した時、ジウマ氏はその真の理由を知らされていたのではないのか。今度こそ徹底した疑惑の解明がなされるのかが、とみに気になるこの頃だ。(み)