ガウショ物語=(39)=密輸に生きた男=《1》=強いものが支配する時代 2015年7月6日 ガウショ物語=シモンエス・ロッペス・ネット著(監修・柴門明子、翻訳サークル・アイリス) その痩せた体はすで九〇歳に手が届こうとしていた。だが、イビロカイ川のほとりを拠点とする密輸クループの頭領だったジャンゴ・ジョルジの度胸はいまだに衰えを知らなかった。 この向こう見ずなガウショは、生涯ずっと国境の広野を行き来して過ごした。真昼の日差しの下を、青白い月の光りの中を、夜の闇の中を、明け方の立ち込める霧の中を……。 豪 ... 続きを読む » tweet