同僚がいる前で、部下のブラジル人を叱責してはいけない、というのは企業の常識だ。変にプライドが高いので、逆恨みされたり辞めて訴えられたりすることもあるという。最近はパラハラなどと言われるので日本でも少なくなっているのかも知れないが、日本人はそれで発奮する人も多いような気がする▼一概には言えないが、子供の頃からのしつけの影響が大きいのではないか。ブラジルは褒めて伸ばすタイプの子育てをする。甘いとも放任ともいえるのだが、あまり怒らないのではないか。自由で寛容な国民性の一要因だと思う。一方、児童虐待も多いが、これはしつけではないので置いておく▼知り合いの夫婦―夫がブラジル人で妻が日本人なのだが、話を聞いていて色々驚く。子供がいたずらをしたのでお尻を叩いたら、「家に監視カメラをつける」と言われたというので笑ってしまった。最近は、「君は子供を怒り過ぎだ。精神的に問題があるかも知れないので、カウンセリングを受けた方がいい」と真面目な顔で勧められたという▼実際を見ていないし、妻側からだけの話なので何とも言えないのだが、確かに日本人の母親はよく怒るというか、ダメダメと子供のやることを制止しているような気がする。そうした環境が、何か一歩踏み出せない性格を作るような気がするし、また思慮深くなるのではないかと思う▼ブラジルに長くいると、両国民のいい部分、悪い部分がよく見えてくる。そしてもっと長く住んでいる移民の人たちから、子供や孫について、そして教育論を聞くことも多い。こうした環境は子供はさておき、親にはいい。(剛)