歌誌『椰子樹』378号が9月に発行された。
《眞子様の御来場待ちて早朝より超満員なる日本祭》(阿部玲子)も7月の慶事を偲ぶ作品。《店先に華やぎ競う花よりも歩道割れ目の月草ぞ好し》(住谷久)は庶民派の作品だ。映画女優は派手で美しいが、一緒に住むには、自分の好みをよく知っている女房こそが一番?! 《どの会に行くとも戦前移民なく化石のごとく黙すこと多し》《文協の会報もブラジル語と変り写真を見つつ往時を偲ぶ》(梅崎嘉明)も95歳の作者ならではの感慨がこもっている。《5メートル運転台によじ登り見果てぬ夢を少し味わう》(神林義明)。アグロショーで大型農業機械に乗り、運転しているつもりになって、かつて抱いたファゼンデイロの夢を思い出した経験を詠んだもの。今号にもいろいろな想いが詰まっている。