どういう風の吹き回しのせいかは不明ながらイビラプエラ公園の「開拓先没者慰霊碑」の法要が仏教によって行われたのは大変結構な話であると思う。詳しい事情はしらないけれども、以前は仏式だったし、ブラジルの大地に眠る一世移民らも慣れ親しんだ僧侶の読経に感激し喜んだに違いない。あの碑文を書いたのは田中角栄首相であり田中龍夫衆議や藤川辰雄氏らの尽力が大きい▼現地では和田周一郎氏が県連の会長で事務方は田村徹氏だった。これらの人々はすでに物故してしまったけれども、あの慰霊碑はこれからも大切に守って行きたい。田中角栄首相は独学の政治家であったが英語も辞書を丸暗記したと伝えられ能筆家としても知られ、碑文に揮毫された漢字も素晴らしい。アチバイヤに引退の和田さんは「わしは墓守り」を自認しオニブスに乗りよく来聖してきたのも懐かしい▼邦字紙の報道だと、尾西貞夫氏が仏教での法要を主張し石川準二氏も同調したようだが、会議で投票した結果は「反対」が多くて否定されたようだ。その後も交渉のようなものが続いたのだろうけれども日本人移民の慰霊であれば仏教が最も相応しいのではあるまいか。若い子供たちの合唱も大いに歓迎したいし、先亡した移民たちの霊を慰める気持ちの重要さもしっかりと教え伝えて参りたい▼こうした日本人移民の歴史に通じることがらは日頃から子供や孫に語りかけるような暮らしを持ちたい。移民祭に若い人が顔を見せないと嘆く前に大事なのは、こうした心構えだと思う。(遯)
04/06/22