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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年12月4日付け

 祖母と孫娘2人の殺人といい九州の暴力団抗争など―一般の庶民には「どうしてあんなことを」が実感ではなかろうか。香川県坂出市の自宅で刺殺された三浦啓子さん(58)は、部屋に大量の血痕を残したまま孫の茜ちゃん(5)と彩菜ちゃん(3)らと行方不明になった。警察も署員を動員し「殺人」の可能性を含めて捜査したけれども、謎が謎を生む怪事件の様相を帯びてくる▼ところが、死亡した三浦啓子さんの義弟が犯人とわかり、3人の遺体も見つかったが、事件の真相はこれからの捜査に待つしかない。三浦さんと義弟に金銭トラブルがあったらしいのだが、それにしても可愛い孫娘とおばあちゃんら3人を殺し死体を遺棄するのは理解を超える。酷いのひと言しかないが、福岡・熊本・佐賀で起きている暴力団抗争も、普通の市民を巻き込んでの騒動である▼福岡県の指定暴力団・道仁会の跡目を巡る争いが起点だそうだが、同会の最大勢力だった村上一家が、松尾義久会長の就任に反対し九州誠道会を設立したのが、対立のきっかけらしい。この8月には松尾会長が射殺され、誠道会系の組長も撃たれて死亡。佐賀の病院では入院中の市民が暴力団風の男に拳銃で殺されている。多分、誤殺ではないかと思われるけれども、対立抗争は拡大する一方である▼そして今度は道仁会系の松尾義和組長が射殺され運転手の組員も刺殺と―市民らの不安も高まる。こんな暴力沙汰が堂々と街を支配するようでは、真面目な庶民が堪らない。警察も取り締まりに力を入れているのは解るけれども、是非とも「暴力阻止」の夢を実現して貰いたい。   (遯)

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