「それはあしたにしておけ。今日は祝宴だ。ここに居て、婚姻を祝って葡萄酒を飲んだり、菓子を食ったりするがいい……。作業場へ行ってみな……」 「へぇ、親方。有難てぇことで。おれ、必ず、乾杯の仲間入りをさせてもらいます……」 「分かった、分かった。行け!」 狐は鶏小屋に入り込んだ……。 作業場で馬を降りたとき、シルーの脚は鉛のように ...
続きを読む »2015年6月29日の記事一覧
ニッケイ俳壇(844)=星野瞳 選
アリアンサ 新津 稚鴎 秋深し味噌つけて焼くにぎり飯サボテンの実を紅くして露寒し地ひびきのして秋の雷鳴り渡る立ちのぼる焚火煙りに散る木の葉朝寒しねじり鉢巻して無職【最近の『俳誌・葛』で巻頭を得られたとも聞くが、この俳壇でも巻頭作家でもあられ、老いていよよ顕なる作者をうれしく思います】 北海道・旭川市 ...
続きを読む »ニッケイ歌壇 (491)=上妻博彦 選
サンパウロ 梅崎 嘉明 高千穂に八紘一宇の塔たつと聞きし日ありきいまはまぼろし軍籍は持てど戦爭を知らぬ父日本は敗けぬと言いつつ逝けり大本営のラジオを聴きし友人は馳せきて日本の大勝を告ぐ飛行機を搭載可能の潜水艦建造せしとか戦わず消ゆ黄金藤の花過ぎ葉陰に数多見ゆ莢実(さやみ)は時代にかかわらず垂る 「評」確 ...
続きを読む »ニッケイ俳壇(843)=富重久子 選
プ・プルデンテ 小松 八景 移民の日語り伝へて次世代へ【六月十八日はいみじくも「移民の日」である。戦後移民の私共には、その苦労の真相は新聞や書籍、或いはその方々から聞かされる実話によるしかないが、つくづく身にしむ思いの募るものばかりであった。ここに掲げる五句は、その移民の日を簡明に潔く詠まれた俳句として、明日 ...
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