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新大統領とは対照的な世界最強女性

アマンダ・ヌーネス(William Lucas/Inovafoto)

アマンダ・ヌーネス(William Lucas/Inovafoto)

 伯国で、90年代前半まで「サッカーの次に国際的に強いスポーツは?」と問われたらその答えは「F1」だったもの。だが2000年代後半から、それは「総合格闘技」になりつつある。とりわけそれは2016年から「女子」で顕著になりつつある。現在、「世界で最も強い女性」は伯人だ▼昨年の12月30日、総合格闘技の最大団体、「UFC(アルティメット・ファイティング・クラブ)」の最新の興行が米国カリフォルニア州で行なわれ、UFC認定の世界王者のベルト保持者の伯人女性2人、クリス・サイボーグとアマンダ・ヌーネスが戦った。この対戦は、クリスがベルトを持っていたフェザー級の試合で、バンタム級王者のアマンダが体重を増やす形で行なわれ、腕のリーチもクリスの方が5センチ長いと体格差もあった。だが試合は、開始わずか51秒、アマンダがクリスを圧倒的な試合展開でノックアウトした▼アマンダと言えば、バンタム級女王の時代には、女子格闘技ブームの主役となった数年前まで無敵のチャンピオン、ロンダ・ラウジー(米国)をも48秒でリングに沈めたほどの実力の持ち主。今回の試合でも、ラウジー戦で見せた高速パンチ攻勢が鮮やかだった。そのひじをグッと引いた基本に忠実なパンチの動きは、スロー再生で見ると肉体的動作としてかなりの凛々しい美しささえ放っている。ラウジー、クリスと難敵を倒した今、彼女に勝てる挑戦者はすぐに思いつかず、「アマンダの世界女王の座は当分揺らぎそうにない」、との専門家の声も目立つほどだ▼このアマンダは、「強さ」以外の角度で見ても非常に興味深い。それは彼女が同性愛者で、貧困層の多い北東伯のバイーア州出身であることだ。「女性で、レズビアンで、ノルルデスチーナ(北東伯出身者)」などというと、1日に就任したばかりのジャイール・ボウソナロ大統領がいずれも差別発言を浴びせてきた対象であり、同氏の大統領選での得票率も低かった項目だ。ボウソナロ氏の存在が国際的に話題になっているのとは別のところで、同氏のイメージとは真逆な人物が「世界最強女性」として脚光を浴びているのは、偶然だとしても興味深い▼アマンダ自身は現在は米国在住で、昨年の選挙で誰に投票したかなどは明らかにされていないが、今後、彼女がボウソナロ氏をどう思っているかなどを尋ねられる一幕も出てくるだろう。そのときに彼女がどう言うか。答の内容いかんにかかわらず、コラム子は興味がある。(陽)

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