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大統領寄り保健相、陽性反応で墓穴掘る?

ケイロガ保健相(Walterson Rosa/MS)

ケイロガ保健相(Walterson Rosa/MS)

 新型コロナウイルスは多くの人の健康を奪い、本人や家族の人生を狂わせたが、現保健相のマルセロ・ケイロガ氏は医師としての誇りや倫理観も失ったようだ。最近の同氏の言動には、保健相であり続けるために大統領のご機嫌をうかがっていると感じる場面が多いのだ。
 その一つは、基礎疾患のない青少年への新型コロナの予防接種中止勧告。勧告は保健省の局長名で出たが、16日の会見には同氏も出席し、サンパウロ大都市圏に住む16歳の少女が死亡した事を理由の一つに取り上げた。
 その説明を聞いて思い出したのは、昨年、中国製ワクチンのコロナバックの治験参加者が死亡し、自殺と判断されたのに、大統領が声高に「中国製ワクチンは安心できない」と語った事だ。
 今回はファイザー社製ワクチンだから、大統領も「中国製ワクチン」とは言っていないが、「何か起きても責任は負えないと言ってきたはず」と予防接種を批判する言葉は発した。
 中止勧告は大統領の圧力故との印象はその後の報道や16日のライブの内容でも確認できたが、ケイロガ氏は17日、大統領は何も言っていないと弁明。「大統領は国の事を案じて心中を明かしただけ」との言葉には、大統領への批判回避を願う姿勢がうかがわれる。
 ケイロガ氏は16日、「近日中にマスク着用も義務ではなくなる」とも語った。これも、科学的な根拠によらず、大統領の要請に応えようとした言葉ではなかったか。保健省内の専門家は中止勧告は一方的に出たとし、勧告が続けば辞表提出も辞さない構えだという。
 ニューヨークでは大統領と共に街頭でピザを食べ、在米ブラジル大使官邸から戻るバスの中では、バスを待ちうけて抗議の声を上げた現地の伯人達に中指を立てて見せて威嚇する姿も見せた。この行為は「大統領よりボルソナロ派」と賞賛されたようだが、科学的な根拠に基づいた行動や判断が必要な医師かつ保健相にあるまじき行動は、同氏の名声を地に落とした。
 政権2代目の保健相で大統領と折り合わずに辞任したネルソン・タイシ氏は、医師仲間のワッツアップグループから出るようケイロガ氏に勧告。ケイロガ氏は現在、政府関係者と家族の二つのグループにしか入っていないという。
 同氏は21日に陽性反応が出て、米国で隔離中だ。ブラジル訪米団は同氏の感染判明で急遽帰国となったが、米国行きの機中や国連総会などで同氏と接触した人達の健康も気にかかる。
 医師資格もない人なら科学的な根拠に欠けた判断や言動も目を瞑ってもらえるかもしれない。だが、現役医師が保身のために大統領に追従し、国連の場にもコロナの脅威を持ち込んだとあっては保健相の資格はない。(み)

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