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◇コラム 樹海

 ここ数年―。日本の児童虐待がひどい。女子生徒への淫らな行為も後を絶たないし、女子高校生になると援助交際とかに走る者も少なくない。特に哀れなのは父や母に苛められる子どもたちである。先ごろ、札幌では29歳の無職男が、同居している女性の3歳と4歳の女の子を「躾のため殴り殺し」―遺体を遺棄しようとしたところを警察官に見つかり逮捕されている▼こんな動機ともいえないような理由で子らを虐げる。今年は28人もの子供が死に追いやられ被害者は増える一方だそうな。こうした惨めな児童虐待が3万4000件(昨年)を超えており、統計を取り始めた平成2年の30倍以上になっているという。育児に悩んでの暴行や躾の苦労と親の気持ちも解らぬではない。だが、そんな苦しみを乗り越えてきたのが父と母の姿なのに―▼鹿児島県の元中学校教諭は、3歳から12歳の女子13人に猥褻行為をしたと懲役10年の判決を受けた。検察側では、被害者は40―50人と論告している。しかも、この森本祐貴被告(28)は、自らの犯行をビデオカメラで撮影したそうだから―話にもならぬ。物事や筋道を教え諭すのが「教諭」なのに、こんな先生ばかりでは日本の将来は真っ暗闇だ▼こうした暗鬱な世を見た警察もやっと動き始めたのは大いに結構である。都道府県の少年課長らを集めて緊急会議を開き、児童虐待の疑いのある家庭には積極的に立ち入ることを通達し、児童相談所との情報交換も蜜にするそうだ。こんな警察の措置が実を結べば、この暗くも惨い社会風潮を一掃できる。先ずは虐待と猥褻の追放を第一としたい。  (遯)

2006/10/17

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