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痴呆を恐れない(中)=恐ろしいのはアルツハイマー型

健康広場

5月19日(水)

 前回、痴呆は「脳が通常よりも早く萎縮し、老化すること」だと紹介した。まず、「ボケ」には病気が原因のものとそうでないものの二種類があることを知ろう。
 病気のボケとは、物忘れが中心のボケ(痴呆)と物忘れのないボケ(仮性痴呆)がある。これに対し病気でないものは軽度の記憶力低下と性格・人格の変化が挙げられる。
 厚生労働省が日本で行った調査では、現在六十五歳以上の痴呆症患者は十四人中一人に留まるが、三十年後には十人に一人に増加すると見ている。
 一世はもちろんのこと、二世も高齢化に向かっているだけに日系社会も痴呆症と向き合う必要がある。サンパウロ市内の日系病院でも、痴呆症の患者は増加傾向にあるという。
 まず、表のチェック項目1~8を試してみて、自身が罹りやすいボケのタイプを認識して欲しい。
 1~4に当てはまった人は「アルツハイマー型」痴呆に、5~8に思い当たる人は「脳血管性」痴呆にそれぞれなりやすいと考えられる。
 それではそれぞれを分析してみよう。
 内科などにも異常がなく、進行が穏やかなため家族などの発見が遅れがちなアルツハイマー型。原因不明の難病だが、通常よりも早く脳が萎縮するのが特徴だ。「物忘れが多い」「根気がなくなる」などの第一期から第二期では場所が分からなくなり、幻覚や徘徊もスタート、さらに第三期では家族の名前も認識できず、会話も成り立たない状態に陥る。
 反応が鈍く、動作がもたつく▽言葉が短くなる▽仕事がテキパキ出来ない▽無表情・無感動が目立つ▽発想が貧困▽相手の意見を聞かない――などの症状が目立ち、本人もしくは家族が「変だな」と感じたら、すぐに専門医に相談を。
 また、段階的に進行するアルツハイマー型だが、脳を鍛えることで痴呆の症状が出始めても歯止めが掛けられる。
 脳の働きを高める日常生活で可能な活動とは(1)作文や手紙を書き、文字と接する(2)クロスワードパズルやトランプ、チェスをする(3)教養番組を見る(4)新聞を読む(5)パソコンや電卓を使う(6)図書館に足を運ぶ――など。こうした活動が、痴呆予防で重要な脳の前頭葉を鍛えるという。
 次回は「脳血管性」の特徴と対策、さらにボケを予防する方法を検証する。

◆ボケ初期症状タイプ分類チェック

1 同じ事を何度も言ったり、聞いたりする
2 無表情でいることが多い
3 話すときに「あれ」「それ」など代名詞が目立つ
4 注意力が散漫になったと言われる
5 最近、涙もろい
6 字が下手になったと言われる
7 急にめまいや頭痛を覚える
8 自分の昔話をよく口にすると言われる