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魚屋さんの入り知恵=鯖の船場汁

グルメクラブ

9月19日(金)

 三木宗三郎さん(六九)はリベルダーデ区ガルボンブエノ街三六四にあるガレリア内で魚屋を営んで三十年以上になる。
「昔はこの界隈にも七、八軒の魚屋があったけどね……」。かつての同業者は次々と店をたたみ、街を去っていった。
「もう骨の芯まで魚の匂いが染み付いているよ」と笑う三木さんに旬の魚を尋ねた。「今はたいがいの魚がおいしいね。鯵、鯛、ハマチもいいよ」との答え。
意外なところでは鯖の名前が挙がった。チリからの輸入品だというが、「日本のものに負けないくらいに立派。卵がたくさん入っているし油も乗っている」。
さてどう食すか。三木さんは「締めたらやっぱり最高」というが。
関東と関西では鯖の食べ方に大きな違いがあることはよく知られた事実。例えば関東ではポピュラーの「鯖の味噌煮」も関西では「鯖の塩焼き」が一般的。関東には古くから「鯖の生き腐れ」の印象が根強いせいでもある。
関西の方が料理方法も多い。ポルトガル語で「船底」を意味する「バッテラ」(鯖寿司)や船場汁などはその代表的なものだろう。今回は「船場汁」のレシピを紹介する。デパートに夏物が並んでも冷え込む夜はある。そんなとき家族団欒の一品としていかが。
材料(四人分)
○鯖のあら(頭・中骨・脇骨)一尾○ワケギ二分の一把○スダチ二個○大根四分の一○ショウガ少々○アサツキ二分の一○醤油、みりん、酒各種適量。
あらをほどよい大きさに切り、強塩をしてしばらくおく▽熱湯にあらを入れ、ひと煮立ちしたらすぐに冷水に取り、血合いやウロコをていねいに取り除く▽大根とニンジンは厚めのイチョウ切りにしゆでこぼす▽絹豆腐は小角に、ワケギは四センチ長さに、スダチは半分に切る▽鍋に水六カップを張り、あらと野菜を入れ、つめ昆布を加え、煮立ったら昆布を取りだし、浮いたアクをすくい取る▽野菜が柔らかくなったら、酒、塩、薄口醤油で味を調え、豆腐とワケギを加える。椀に盛り、スダチを絞っていただく。