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料理研究科の中南米食文化紀行=キューバのコングリス

グルメクラブ

10月3日(金)

 料理学校の生徒にこんな話を聞いた。「授業に使う食材を集められなくて休校も多い」と。
海外からの観光客が増加する今、高級ホテルのレストランで働く調理人が求められている。しかし国の現状はモノ不足。苦労しているようだ。
ハバナ市街に大衆向けレストランが立ち始めた。といってもスタンドの類だが、十年ほど前には見られなかった光景だ。
 メニューはどこも五、六種ほど。「今日はこれしか出来ないよ」と言われたことも度々。料理のバラエティーは少ない。新鮮な魚には恵まれていますが野菜が手に入りにくい。
主食にコングリスと呼ばれるものがある。白米に赤黒いインゲン豆を加えて炊いた黒っぽい赤飯で別名クリスト・イ・ネグロ。白人と黒人が混ざり合った結果生まれた人種差別のない文化や、キリスト教と西アフリカのシャーマニズムが結びついた大衆信仰を象徴している。
 医者の月給は五~十ドルほど。でも人生を楽しむ時間や暮らしには困らない福祉制度がある。幸せの源はやはり音楽とダンス。食べることよりも踊ることの方に興味があるようだ。
踊れば喉が渇く。飲み物は充実している。特産のラムをベースに作られたカクテル。例えばキューバ・リブレ(コーラ割り)、モヒート(ミント葉にソーダ水)、ダイキリ(ライムに砂糖)などは有名。
 コーラは国産のチン・コーラ。作家ヘミングウェーが愛したダイキリは砂糖抜きのもの。バーで〝パパ〟のダイキリと注文すれば通じる。また、密造されているものを含めビールの種類も豊富だ。