ホーム | コラム | 日伯コンサル奮闘日記 | 第39回 心配が絶えない五輪を楽しむには?

第39回 心配が絶えない五輪を楽しむには?

建設が進む関連施設(Foto: Fernando Frazao/Agencia Brasil)

建設が進む関連施設(Foto: Fernando Frazao/Agencia Brasil)

 いよいよというか、ついにリオデジャネイロ五輪まで1年を切った。リオに行く機会も増えてきたが、相変わらず国内線は高い。早めに航空券を予約しようと思うのだが、結局ギリギリにサンパウロからの移動が決まる。
 今回も航空券が高いので深夜バスで行ったが、最近は夕方に出て深夜に着くバスにしたりと体調と予定を見ながら、いろいろと試している。というのもW杯の際を思い出すと、おそらくオリンピックの時期は、さらに航空券は高くなると思われる。
 バス移動が多くなるので、今のうちからバスで快適に移動する方法を身につけたいと思っている。しかし、つくづくリオ―サンパウロ間の高速鉄道ができなかったのが残念でならない。
 W杯時には、競技場が完成するかどうかに世界のメディアの話題が集中した。今回はさらにラヴァ・ジャット作戦で、ほとんどの大手ゼネコン幹部が贈収賄で逮捕され、競技場や各種施設の完成も危ぶまれたが、先週オリンピック関係者に話を聞く機会があり、その質問をぶつけてみた。
 施設は間に合うとのことで、問題はやはり交通インフラのようだ。今でさえ、至るところで渋滞気味のリオで、世界中から大挙して押し寄せるオリンピックに現状のインフラで間に合うのか。さらに、メイン会場は、ダウンタウンから遠く、今でも車で1時間半はかかる。交通規制が入るとさらに3?4時間コースではないだろうか?
 そもそも交通インフラの弱いブラジルで、交通の便が悪いエリアで開くという、何ともブラジルらしい選択と言える。試合が始まっているのに着かない、そして終わった頃に着いて問題になりそうな気がする。
 また選手にとっても、競技によってはなかなか心配が絶えない。特にボートなどの湖や近海で行う競技にとって、リオの水質の悪さは「下水の中で競技をするようなもの」と、非難する専門家もいる。そのために出場を辞退する選手も出るかもしれないらしい。まさに、選手は競技に体を張るだけではなく、別の覚悟も必要となりそうだ。 経済悪化がもたらすもうひとつの心配は治安だろう。ブラジルの場合は国際的なイベントや会議の時には、軍隊が出動をして、街のいたるところにライフル銃を持った軍人が立つため、私は意外に治安面については通常時よりも良くなるのではないかと思っている。
 これまではそうだったので期待したいところだが、それを不安にさせるのが政治情勢だろう。今後、汚職捜査がさらに進んで、元大統領や現大統領にまで捜査が及んだり、弾劾を受けて大統領が罷免されたりして、オリンピック前後に再選挙などになれば、前代未聞の開催国の当主がいないなんてことにもなりかねない。そうなると軍隊の指揮もできず、治安面の不安が一気に噴出するかもしれない。
 このようにブラジルはいつも色々な意味で、ハラハラドキドキさせてくれる。そしてこのような不安を、得意のホスピタリティで大逆転してもらいたいところだ。おそらく、ボランティアの数もW杯の比ではなく、元来NGO活動が盛んなブラジルは、危機にこそ一致団結する。
 インフラが常に課題で、環境問題を身近に抱え、政情不安が治安悪化も引き起すが、最後はホスピタリティという人間力で帳尻を合わせる。まさにオリンピックはその国の現状を映し出す鏡と言える。そう考えれば、不安だらけのリオのオリンピックも楽しめるんではないだろうか? このドキドキ感は次の東京では味わえないと思うし…。

輿石信男 Nobuo Koshiishi
 株式会社クォンタム 代表取締役。株式会社クォンタムは1991年より20年以上にわたり、日本・ブラジル間のマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ、各種認証取得支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。  2011年からはJTBコーポレートセールスと組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供と中小企業、自治体向けによりきめ細かい進出支援を行なっている。14年からはリオ五輪を視野にリオデジャネイロ事務所を開設。2大市場の営業代行からイベント企画、リオ五輪の各種サポートも行う。本社を東京に置き、ブラジル(サンパウロ、リオ)と中国(大連)に現地法人を有する。

こちらの記事もどうぞ