仕事を終え、静かに老いを養っていたはずの米倉さん一家を襲った悲劇。葬儀の日は冬に戻ったような寒い日だった。
デカセギ帰りの日系人を狙う強盗事件は後を絶たない。日本で働く親族を持つ人にとっては他人事ではない。
この事件は日本のマスコミ各局でも報道された。サンパウロのイメージは格段に下がったはずだ。ブラジルの家族に連絡するデカセギもいたと聞く。
墓地で言葉を交わした婦人がぽつりと話した。「私の息子も泥棒に殺されたんですよ」と。
ごく自然な口調だった。その自然さにかえって、その婦人が乗り越えたであろう悲しみの深さが感じられ、言葉に詰まった。
誰にでも起こりうる事なのだと思った。それが当たり前になっている社会は少し悲しいけれども。(ま)
05/09/16