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酒=リッチなお洒落=サガティバ

グルメクラブ

9月24日(金)

 世界中が注目したサッカーのロナウドと、モデルのダニエラ・チカレリの婚約発表。彼らが初めてキスを交わした場所はどこだろう。報道によれば、答えはサンパウロ市ジャルジンス区にあるディスコクラブ、ヘブン。男性は最低一五十レアル以上の消費が義務付けられる高級店だ。客筋は極めて良い。無論、財布の中身であらかじめ選別されているから。そして美しい女性は列に並ばなくていいらしい。そんな不公平ってあり? 「天国」への階段もお金と美貌次第ってか。
 ところで、スノッブな客は百五十レアル分もいったい何を飲むのだろう。シャンパン、ウイスキー、あるいは気の利いたライトなカクテル……。この紙面で近頃カシャッサがブームですねと力んでみても、ポンと百五十レアル払えるリッチな若者が、とくとく注がれた田舎臭いサトウキビ焼酎をくいっと飲んでいる姿はどうしても思い描けない。モデル嬢やそれに群がる羽振りのいい男どもには、オヤジの酒といったイメージがまだ根強いのでは。個性的で秀逸な品揃えを誇るミナス州産はどうか。それにしても、お洒落系とは形容し難いなぁ。
 シャンパンをふんだんに飲める階層にカシャッサの売り込みを挑んでも仕方ない――そんな思いを強くしていたところ出会ったのがサバティバである。「父の日」用のギフトで見初めた。ショッピングセンター、イグアテミのチョコレート専門店(仏語名)。三百四十七レアルという破格の贈り物セットの中に神々しく収まっていた。何物だろうと身の上をさぐれば、先の五月にロンドンでデビューしている「帰国子女」だった。ブラジルの輸出促進エージェントが英国のデパート、セルフリッジと組んで、洋服や化粧品、アクセサリー、インテリアなどのブラジル製商品の販促プロモーションを大々的に展開したときに、公式飲料として来場者にふるまわれていたという。
 セルフリッジはオックスフォード・ストリートに本店を構え、エリザベス二世のご寵愛も受けたロイヤル・ワラント(英国王室御用達)の折り紙付き。出自に恵まれたサガティバは味もスタイルも現代風、カシャッサに特有の素行のワルさも感じない、育ちの良さが現れている。なにより、出る所は出て引っ込む所は引っ込んだ、モデル体型のスリムなボトルに目を奪われる。このイカしたマーケティング感覚。経営者の横顔が気になる。マルコス・デ・モラエス(38)。元大豆王オラシル・デ・モラエスの息子で五年前、自社ジップ・ネットを売却、三億六千五百万ドルという巨万の富を得た。その後ファッション業界を渡り歩いてきた若き実業家だ。どうりで。自分とその仲間が飲むのに相応しい洒脱なカシャッサなわけだ。
 【サガティバ】アルコール度数三十八度。で一般より低めに押さえられている辺りも品がいい。ミナス州にほど近いサンパウロ州北東部の農業地帯で獲れたサトウキビを現地の巨大工場で蒸留。最新テクノロジーを駆使し伝統の風味と、混じり気のないピュアな味覚の両立に成功している。

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