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喘息は身近な慢性疾患=まめな掃除でダニ退治=冬に多し、気管支の炎症=記念日前に各地で行事

健康広場

6月15日(水)

 厳寒と言えないまでも、白い息を吐くことのあるサンパウロ市の冬。降雨の少ないこの季節は、空気の通り口である気管支に炎症を起こしやすい。特に、気温が下がって部屋を締め切りにしてしまいがち。居住環境の悪化により、喘息の発生率が上昇してしまう。小児喘息の存在は、広く知られるところだ。アレルギー・大気汚染・ストレスなど原因は様々。大人もかかる病気で、重症化すれば死に至る。二十一日は「喘息根絶の日」。各地で関連行事が、計画されている。

 身近な病気
 団体職員の川守田一省さん(41)が、四番目の息子(7)の喘息に気付いたのは、一歳を過ぎたころ。日本に居住していた時だった。たまに発作を起こすようになり、病院に連れていったところアレルギー性の喘息だと診断された。
 原因はハウスダストやダニ。「冬は部屋を締め切って、通気が悪くなっていたようです」。月に一度の通院と並行して、室内の掃除に気を配るなど居住環境の改善に取り組んだ。
 二〇〇〇年に渡伯後しばらく、イビウーナ市に居住。喘息の症状は落ち着いた。この息子のほかにもアレルギー体質の子供がおり、心配の種は尽きない。
 ブラジルで千八百万人、全世界で一億五千万人が喘息持ちと言われる。著名人ではエルネスト・チェ・ゲバラ、JFケネディ、シャローン・ストーンの名がみられる。
 慢性病
 喘息は、気管支がアレルギーなどで炎症を起こして狭くなり、呼吸困難になる病気。何かのきっかけで急に息苦しくなり「ヒューヒュー」、「ゼーゼー」といった喘鳴が現れる。糖尿病や高血圧と同様、慢性疾患。援協総合診療所の矢島カルロス医師は「喘息の原因は、患者によって違う。体質を十分に把握することが大切」と話す。
 花粉やハウスダストなどアレルゲンを特定できるアトピー型喘息と、アレルゲンが不明な非アトピー型喘息の二つに分けられる。
 小児喘息の九割はアレルギー性。後者は(1)香水などの強い匂い(2)風邪(3)天候の急激な変化(4)ストレス(5)大気汚染──など、外界からの刺激によるもの。成人の半数以上は、このタイプだ。
 両者とも症状、治療方法は同じ。胸部レントゲンや呼吸機能などを検査して調べる。
 予防が鍵
 発作が起きれば、炎症を抑えたり気管支を即効的に広げる医薬品を吸入するなどして対応。重症時は点滴や酸素吸入を行う。対症療法から予防的な治療に、軸足は移っている。発作がなくても、気管支に慢性的な炎症があるため。日常生活の中で防ごうというのだ。
 最も代表的なアレルゲンは、室内のほこり。主成分はダニで、本来は高温多湿を好む。暖房器具の普及などで、年中生息できる環境にある。増殖を抑えるには(1)部屋の風通しに努める(2)じゅうたんや毛布、羽毛ふとんをできるだけ使用せず、頻繁に掃除する(3)ペットの室内飼育を避ける──などが有効。
 風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染すると、発作が起こりやすくなるため、帰宅時にまずうがいをすることが大切だ。鎮痛解熱剤や高血圧・心臓病の内服薬が喘息を誘発する恐れもあり、服用の際は医師の指示を受けるべき。
 運動をすると発作が起きることがある。喘息患者は運動を行ってはダメというわけでなく、医師の適切な指導のもとなら可能だ。シューシャは、十四歳から水泳をスタート。ブラジルのオリンピック代表選手になっている。
 喘息根絶の日
 喘息はSUS(統一保健システム)を扱う医療機関で入院原因の第三位。毎年二千人が、死去している。六月二十一日は喘息根絶の日。今月に入って、ブラジリアやサンパウロ市で講演会や学会などが実施されている。
 マルタ・ロドリゲス・ギダシ医師は政府系サイトで「喘息が増加中で、公衆衛生上の問題になってきている」と危機感を表明。病気への正しい理解を呼びかけている。
 ブラジル喘息協会サンパウロ支部は十九日午前九時から、アクリマソン公園でイベントを企画。行進や劇、討論会を通じて、啓蒙活動を展開するという。

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