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精神安定には座禅がいちばん

健康広場

2005年9月7日(水)

 あっと驚く研究結果がこのほど、米国の権威ある雑誌「アメリカ心臓医学ジャーナル」に掲載された。「超越瞑想」によりがんの死亡率が四九%、心臓血管の問題を原因とする死亡率が三〇%、一般病気による死亡率が二三%減少したというのだ。
 座禅により、免疫力を高める脳波(α波)が出るということは広く知られている。まさか、がんの治療を手助けするとは……。
 被験者になったのは、高血圧に悩む高齢者男女合わせて、二百二人。アイオワ・マハリシ大学自然予防医学センターの理事らが、十八年以上かけて実施した。月刊誌「サウーデ・エ・ヴィタウ」(アブリウ社)が八月号で、記事を紹介している。
 「超越瞑想」はマハリシ・マヘシュ・ヨギが四十二年前に、編み出したもの。一日二回十五分~二十分ほど楽な姿勢で腰掛けて、目を閉じるだけ。世界に約六百存在している座禅の一つだ。
 ビートルズが傾倒したことで一躍有名になった。全世界で五百万人以上が学んでいるという。がんに有効かどうか、その真偽は別として禅を健康面から検証したものとして、同センターの研究は評価されるのではないだろうか。
 というのは近年、座禅による腹式呼吸が精神安定作用をもたらす脳神経のセロトニンを活性化させることが、分かってきたからだ。キレル子供や引きこもりの人、そして各種ストレス障害に悩む患者を救えるかもしれない。
 仏心寺(サンパウロ市リベルダーデ区)の采川道昭曹洞宗南アメリカ国際布教総監(56、山形県出身)が今年初め、有田秀穂東邦大学医学部教授の実験に参加した。脳波を調べることによって、座禅が健康に好影響を与えることが科学的に証明された。
 「精神をリラックスする効果があるんです」。同総監の脳からは、睡眠中に出るはずのα波が確認された。それは、副交感神経が働き、興奮や緊張が抑制されていることを意味していた。
 腹式呼吸は、呼気(吐き出す息)が中心だ。座禅は一般に、線香一本(約三十分)が尽きるまで続く。厳しいリズム性運動になり、呼吸量は座っていながらジョギングするのと同じくらいだ。これが、セロトニン神経を活性化させる。
 日常生活の中でリズムを刻むものと言えば、歩行とそしゃくだ。ゲームや軟らかい食品の普及、運動不足などにより、現代人はセロトニンが欠乏。ストレスに耐えられなくなってきている。
 円光寺(イタペセリカ・ダ・セーラ市)の住職大畑天昇さん(87、静岡県出身)は「仕事上の悩みを抱えた人が、寺を訪れることもありますよ」と明かす。
 ただ、「一応日本古来から伝わる禅宗の修行でありますから」と仏心寺の関係者。健康増進に役立つからといって、禅の哲学に全然(ぜんぜん)関心を持たない市民が押し寄せたら、寺側は面食らうかも……。

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