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パブ『伯剌西爾』=副大統領のカシャッサ

グルメクラブ

4月16日(金)

 六四年クーデターから四十年ということで、当時大統領の座を追われたジョアン・グラール、ことジャンゴの話題が尽きない。
 グラールの職業はもともと弁護士でありファゼンデイロだ。歴代の大統領でファゼンデイロでもあったのはヴァルガスとグラールだけ。
 副大統領を二度経験しているとなると過去にグラールしかいない。クビチェッキ、続くクアドロスの両政権で「第二の男」として功を成し遂げた。
 一国の主に珍しく、「ジャンゴ」ともっぱら愛称で呼ばれたグラールは、アルゼンチンで瞑目、客死した唯一の大統領である。などと綴れば、節目の今年ならずとも、好奇心をくすぐられる政治家だ。
 だが、近年ではサルネイ、フランコと、グラールに限らず、副大統領を経て権力を握る人物にはなぜか独特の個性がある。
 グラール同様、ファゼンデイロの現アレンカール副大統領はどうか。「個性的」といえば所有するミナスの農場でカシャッサをつくって販売しているのはユニークだ。
 「Maria da cruz」という銘柄で、強度のある味が特徴的だ。ツーンとくる感じがなんとも玄人好み。狡猾な計算ずくで生産されるヤワなカシャッサが出回る中、正面戦を挑んでいる点が評価できる。
 副大統領の知り合いの政治家にはおしなべてプレセントされ、ルーラ大統領の寵愛も受けている、との話を耳にした。
 副大統領、まさか味自慢のカシャッサを「政敵」にまで配って籠絡、行き詰まる政局を打開していこうなどと考えていないでしょうね……。