ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 アジサイ。日本では雨の多い六月の花。ここブラジルでも夏が盛りで雨が多すぎるほどに降る。確かに─。しとしとと降り注ぐ滴のような雨に濡れるアジサイはあの淡緑や紫を引き立てるかのようで美しい。ご承知の方がいっぱい居られるだろうけれども、あの風情豊かな花の原種は日本であり学名を「オタキサン」とつけたのは幕末の長崎にいたシーボルトなのである▼リオのペトロポリスやサンタカタリーナ州に多いのは欧州などで改良されたものがほとんどと言っていい。原種はガクアジサイで今のようにびっしりと花でうまるようなことはない。それでも昔から日本人に愛されたものらしく万葉集にも詠まれたそうだ。この花に「紫陽花」と命名したのは白居易(楽天)である。進士になり官僚として出世したのだが、上司などに妬まれて退官し詩酒を友とした詩人として知られた人である▼平安の貴族も早速に紫陽花の字を充てるようになるのだが、楽天はアジサイではなくてバルカン半島のライラック(和名はムラサキハシドイ)を見たの推測もある。図鑑を調べると花の色が薄紫と何となくガクアジサイに似ている─そんな感じもするけれども、今となってはどちらとも判定致しかねる▼蛇笏に「紫陽花に雨きらきらと蝿とべり」があるが、この花には真に雨がよく合う。カ・ジョルドンの「紫陽花祭り」は今日からだが、予報では雨模様らしい。見物にはいささか不自由ながら降った方が花の風趣が一段と増し光り輝くのも本当なのです。  (遯)

03/01/25

image_print

こちらの記事もどうぞ