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エスカルゴの養殖成功=アフリカ系〝奏効〟=コチア農学校 研修科目ふえる=すでに6千匹収穫

5月31日(土)

 南米諸国からの農業後継者を研修生として受け入れているコチア農業学校(サンパウロ州ジャカレイ市)で研究課目がもう一つ増えた。このほど、洋食などによく使用されるエスカルゴの養殖に成功し、五月二十八日、六千尾の収穫作業が行われた(写真)。
 担当教官のマルセロさんによると「農校でエスカルゴの試験養殖を始めたのは二〇〇一年だ。最初はヨーロッパ系で試みたが、暑さに弱く、増殖率が低いため、比較的暑さに強いアフリカ系に替えたのが功を奏してうまくいった」という。
 メス一尾が一回の交尾で百五十個の卵を年四回、合わせて六百個生むことも分かった。卵は一週間で孵化する。そして、約四カ月で殻付き三十グラムに成長するので、それを収穫する。
 養殖期間中は室内の温度を二十~二十五度、湿度を七〇~八〇%に保つ。エスカルゴは雑菌を嫌うため、土を焼いて雑菌処理をした後で卵を埋める。餌は養鶏と同じように、配合飼料を使うが、野菜のシュシュやコウベを好物として好むようだ。
 三十グラムに成長したエスカルゴを消毒液で完全に洗浄してから釜ゆでにして、最後は写真のように、手作業で一個一個、殻と肉を分離する。製品となる肉の量は重量比で殻付きの約三〇%なので、六千尾の製品量は二十キロ程度だ。
 コチア農業学校で実施されているメルコスル農業後継者研修はオイスカ・ブラジル総局が米州開発銀行(本部ワシントン)の無償資金協力を得たプロジェクトで、野菜、果菜、養鶏、酪農などに今度はエスカルゴが研修課目に加わった。
 かつて、日本では田んぼにタニシ(地方によってはツブ)が沢山おり、味噌汁に入れる栄養源でもあった。エスカルゴはそれに近い味がする。「希望者には適正価格でお分けしますので、いつでも連絡下さい」と鈴川行治教頭が試食希望者に呼びかけている。コチア農業学校の電話番号は0xx12-3956-2362。

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