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活況、大豆「オーロラ」蒔きつけ=イグアスー移住地=GM品種導入も増える

11月21日(金)

 非遺伝子組み換えで、高タンパク質含有(普通種の三八%に対して四一%)の大豆として、すでに知名度を高めている「オーロラ」の蒔きつけが、イグアスー移住地で活況を呈している。
 オーロラの生みの親といわれているJICA日系社会シニア・ボランティアの古明地通孝(こめいちみちたか)さんが「オーロラはイグアスー農協のオリジナル農産物と言っても過言ではありません」と断言(本紙・二〇〇二年十二月十四日既報)していることを裏づけるかのように、農協の財務理事をしている松永真一さん(山口県出身)は「オーロラはイグアスー移住地の誇りです。だから今年もオーロラにこだわり、植えつけます」と意欲満々だ。
 移住地での今季の大豆栽培面積は、昨年同季より増えて約一万八千ヘクタールとなる見通し。品種別ではブラジル・パラナ州のCD202種が約三千二百ヘクタールで最大で、オーロラが約二千四百ヘクタールで続いている。二種とも非遺伝子組み換え品種である。
 今季の傾向として、移住地でも遺伝子組み換え(GM)品種を導入する農家が増えており、たとえば、非遺伝子組み換え大豆栽培農家は十四名に減少している。大豆の市場価格に違いがない上に、GM大豆は蒔きつけ後の肥培管理が比較的に容易、という事情があるようだ。
 ブラジル国内でもGM大豆の是否が大きな政治問題に発展しているが、オーロラを生んだイグアスー移住地も非遺伝子組み換え大豆栽培の聖域ではなくなりそうだ。
 このような流れの中でも、五百ヘクタールに大豆を栽培している松永真一さんのように、粉炭を導入して土壌改良と保水に努力している移住者もいる。今季は二百ヘクタールに二万俵の粉炭を散布し、オーロラを蒔いた。市場の動向を見極めながらも、移住地の誇りを守る必死の努力が続いている。

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