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■ひとマチ点描■伝説の美容師の念願

12月24日(水)

 三レアルで散髪します―。ペンキで殴り書きされた、そんな看板が街から消えることになりそうだ。
 先月、美容業者の営業資格などを定める羽藤ジョージ市議の法案がサンパウロ市議会で可決。
 「これで証書のない美容師は仕事ができないことになる。衛生面での向上が期待できる」。サンパウロ市美容学校組合の名誉会長、赤星勉さん(八六)は喜ぶ。
 もぐりの美容師の営業は組合にとって長年の懸念材料だった。不衛生な環境に消毒不足。いつ病気が伝染してもおかしくない美容院がざらにある、という。
 赤星さんは業界の伝説的な存在だ。その教えを受けた生徒は軽く三万人。「田舎に行っても生徒に会いますね」。往時には国内二十ヶ所以上でサロン、学校を経営。華々しい国際コンクールを毎年のように開いた。大手美容グループ「蒼鳳」の今日をほうふつとさせる。そう思っていたら、同オーナーの「飯島秀明さんも一時期、赤星さんの店で働いていた」という。
 「死ぬまでにはと願っていた法案も通った。次は学校のあるリベルダーデをきれいにしたい」。伝説の美容師の目がきらり光った。    (大)

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