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かつらなど手作り小道具=コロニア歌舞伎展開く

2月4日(水)

 [既報関連]コロニア歌舞伎展が二日、移民史料館九階で幕開けした。主催は移民史料館(大井セリア館長)。午後三時からの開会式には、ブラジル日本文化協会、国際協力機構・JICA関係者をはじめのべ五十人ほどが出席した。毎日午後一時半から午後五時、八日までの日程で開催中。
 「いや、続木(エルザ)さんは良くやってくれたよ」。現在でも、一人芝居を続ける小泉照男さん(八三)は嬉しそうに語った。サンパウロ市演劇研究会で活躍した小泉さんは、自身の飛脚の写真に昔を思い返す。弁士として活躍したのどは健在の様子で、大きく通る声だ。
 小泉照男さん、池田純太郎さん、池田信雄さんらのインタヴィューが会場でおよそ十分間紹介されている。三人とも高齢で、一部聞き取りにくいところはある。しかし、注目すべきは手の動きだ。語りがのってくると、手が滑らかに動き始め、これが観客の笑いや関心を誘発していた。
 「びっくりしました。歌舞伎まで日本のものに近づいていたんですね」とJICAの石橋隆介次長は語る。麻ひもで作られたかつらを見て「ブラジルの原料から、創意工夫でつくりあげていた」と驚きを隠せない様子だった。
 そのかつらを作ったのは池田信雄さん(八七)。「かつらはもちろん。烏帽子や二代目藤間のかぶとも作った」とキャリアは長い。「かつらはミーリョの皮を乾かして作ったものもある。日本のフジテレビが来て、作ってくれと頼まれたこともあった」と明かす。「兄(純太郎)は歌舞伎馬鹿。自分の劇場に無料で観客をいれていた」と懐かしそうに会場を眺めていた。
 他、会場には歌舞伎に使われた小道具を始め、写真や舞台の様子が再現されている。

 

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