ホーム | 日系社会ニュース | ブラジル太鼓協会発会へ=小田幸久さんの教え子達=60団体2千人余が会員=ほかの指導者らと共同歩調=国士舘センターで合宿を

ブラジル太鼓協会発会へ=小田幸久さんの教え子達=60団体2千人余が会員=ほかの指導者らと共同歩調=国士舘センターで合宿を

2月10日(火)

 ブラジル太鼓協会の発会式が十四日(土)午後八時から、サンパウロ市のニッケイパラセ・ホテルで開催される。JICAシニア・ボランティアとして和太鼓の普及をしている小田幸久さんが教えている約六十団体、二千数百人を会員として発足するもので、サンパウロ州各地はもとより南マット・グロッソ州、リオ州、パラナ州からも加盟する大規模なものだ。
 発会式に先立ち、九日来社した小田さんは「一部で、協会ができたら、いままで太鼓指導を一生懸命やってきた人が困るのでは、という風評が立っていると聞きました。そうではなく、昔からやっている人と歩調を合わせてやっていこうと思っています」と説明した。事実、協会役員や技術指導者として参加してもらう交渉が進められているそう。
 発会式後、ブラジル日本文化協会の協力を得て、国士舘スポーツセンターを会場に、週末を利用して太鼓合宿も始める。さらに五月二十三日には同協会初めての主催行事、和太鼓ジュニア選手権を文協で開催する。七人ほどが一チームになって競うもので、優勝チームは日本太鼓連盟の招待で訪日できる。
 また、小田さんが六月いっぱいでシニア・ボランティアの任期を終了することをにらんで、六月一日から同協会主催の記念事業として、日本太鼓連盟から派遣された約十人のトップ演奏者の全伯公演も予定されている。第二段としては十日以降、国際交流基金の主催事業として、やはり日本のトップ太鼓グループがブラジルはじめ、ペルー、ボリビアでも公演を行うことになっている。
 小田さんは六月いっぱいでいったん帰国。というのも、地元博多で十一月に全国的な行事である日本文化祭が開催されるため、その責任者の一人として活躍が期待されているからだ。十一月以降に、再来伯する予定になっているそう。
 日本への太鼓留学の筋道もつけた。四月に一人、八月にもう一人訪日する手はずになっている。「これから毎年送ります。日本語できる人は三カ月、できない人の場合は一年ほどです」と説明する。
 小田さんは「私は十年計画でやろうと思っています。太鼓を通じた青少年育成が我々の目標です。まずは日系の若者に太鼓を通して〃礼節〃を学んでもらい、彼らからブラジル人に広めていってもらいたいと思ってます」と熱く語る。
 その夢の一つに、国士舘スポーツセンターを「日本村」にする計画もある。二十ヘクタールの土地を使って、竹林を育て、あやめ、水仙、かきつばたなどを植えて日本らしい環境を整える。週末などに、紅葉の下でお茶会を催し、華道や書道から太鼓ショーや日舞なども見せる。「本当の日本文化に触れられる日本村にしたらどうだろか」というアイデアだ。
 同協会の活動が日系社会の活性化、若者の日本文化への関心喚起を促すものになれば、大いに歓迎されるだろう。今回のブラジル太鼓協会発足はその第一歩ともいえそうだ。

 

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