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人間の原点に帰る=19日から鴨下葉子個展

2月12日(木)

 「ブラジルに来たからって、(絵は)あんまり変わっていない。ただ、においのようなものは(作品に)存在している」。画家、鴨下葉子さんは、半年の影響をそう振りかえった。サンパウロ市制四百五十周年を記念した鴨下さんの個展が、十九日から二十九日(午前十一時から午後六時)までモルンビーのカーザ・ダ・ファゼンダ(モルンビー大通り五五四九、電話3742・2810)で開催される。十九日は午後七時半からオープニング、月曜日は定休日、入場は無料。
 半年間でおよそ七十点の作品を描き、うち三十点が展示される。「日本でもブラジルでもない―抽象画で人間の原点に帰るようなものが多い」と鴨下さん。造形作家、豊田豊さんは「題にも見られるように、詩的、叙情的な作品」と評する。鴨下さんは「全ては題で示されていないが、題名が作品と(作品を)見る人との接点になれば」と考える。
 今回の展示場は、古いファゼンダの一角。一八〇〇年代に入植したイギリス移民がお茶を栽培した。「州の文化施設になっており、自分たちの思い通りの展示にするのは難しいが、作品だけでなく建物も見る価値がある」と豊田さんは力説する。
 鴨下葉子―一九六三年、東京生まれ。日仏現代美術展第一席(七八年)、亀高文子記念賞(九五年)など受賞多数。

 

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