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「在ブラジル被爆者裁判」=森田さんら訴え取り下げ

3月 6日(土)

 被爆者援護法に基づいて支給される健康管理手当てが、出国を理由に打ちきられるのは不当だとして、ブラジル在住の被爆者十人が国と県に同手当ての支払いを求めて争っている「在ブラジル被爆者裁判」。口頭弁論が二十六日に、広島地裁であり、森田隆在ブラジル原爆被爆者協会長(七九)ら七人が訴えを取り下げた。国が大阪高裁(〇二年十二月)での判決を機に態度を改め、請求分を支払ったため。残り三人は訴状の一部について、国が時効を主張しているため、司法の判断を待つ。
 昨年三月に政省令が改正され、海外でも手当てが受けられようになった。ただし、国は法律上、五年で時効になるとして、請求額の一部を認めていない。
 今年二月末の福岡高裁での判決では、時効は成立しないと主張する原告側が逆転敗訴。在外被爆者には厳しい状況になっている。
 向井昭冶さん(七六)ら三人は九四年七月~九七年十二月などの計約二百九十万円が時効成立を理由に支払われなかった。「権力の乱用だ」と反論、訴訟を継続する。
 森田会長は「目的を達成したから身を引くということです」と慎重に言葉を選んだ。今後は、向井さんらの裁判を支援していく構えをみせている。
 同協会は、被爆者手帳の取得などの手続きが居住国で可能になるよう国に働きかけている。原告側の足立修一弁護士が七日に来伯、関係者と意見交換する予定。森田会長は提訴の可能性も示唆している。
 渡日治療の受入先となっている共立病院の青木克明院長が同行。患者の追跡調査を実施する。
 足立弁護士は十二日、法律の無料相談を実施する。被爆者協会は広く希望者を受け付けている。事前に予約をすること。電話番号=0××11・5589・9594。

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