ホーム | 日系社会ニュース | ひとまち点描=47年間、同じ場所で写真館

ひとまち点描=47年間、同じ場所で写真館

3月12日(金)

 

 サンパウロ州ビリグイ市在住の後晄さん(うしろ・あきら、92歳)は、47年間も同市内の同じ場所で写真館を経営している。和歌山県出身で、1933年に渡伯。独学で写真を勉強し、友人から写真館を買って現在に至る。
 「もちろん、経営は孫に任せてます」とのことだが、「今でも撮影してますよ」と生涯現役を貫く。二世の妻を52歳の時に亡くし、以来、男手一つ、写真一筋で男2人、女3人の子供たちを育て上げてきた。孫は5人、ひ孫は一人だそう。
 「私が写真館を始めた頃は、アスファルトもないような町だった」。現在のビリグイは、近隣ではアラサトゥーバに次いで、人口10万人以上を誇る都市だ。
 世界的な名機と言われるローライフレックス社製のカメラや、ヤシカなど50台近くの戦前戦中期などの〃ガラクタ〃をコレクションしている。もちろん、「ええ、移住者の写真も山ほどありますよ」とのこと。
 後さんがシャッターを押す指には、移住者の歴史が刻まれている。   (深)

image_print