ホーム | 日系社会ニュース | 野沢菜の〝ポ語名〝はコウベ・マンテーガ・ジャポネース=依田さんの尽力実る=非日系人の食材に=デカセギ子弟対象の補習授業を

野沢菜の〝ポ語名〝はコウベ・マンテーガ・ジャポネース=依田さんの尽力実る=非日系人の食材に=デカセギ子弟対象の補習授業を

6月1日(火)

 信州特産の野沢菜をブラジルに普及させようと、依田道雄さん(七三、長野県)が〇二年五月から、ボランティアで農家への栽培指導や販売ルートの開拓などに奮闘してきた。業者による卸売がひとまず、軌道に乗ったところで、日本に帰国。次は、デカセギ子弟を対象にした補習授業の拡充を求めて、自治体や政治家たちに掛け合う。
 依田さんは元移住者。海外雄飛の夢を見させてもらったブラジルに感謝したいというのが来伯の動機だ。
 「君たちは雑草のように根強い人間になって、社会のために貢献しなさい」。大学時代の恩師の言葉が、七十歳を越えた今も、忘れることが出来ないという。
 モジ・ダス・クルーゼスやスザノ方面の日系農家に種子を無料で配布。そのうちの一軒に、委託して試食用を栽培した。
 二~三カ月で収穫した野沢菜を、毎朝リベルダーデ広場でラジオ体操をしている人らにプレゼントしたほか、フェイラや同区内の商店の店頭で試験販売。感触を確かめた。
 ブラジルで知名度を上げるには、非日系人の口に入れなければならないと思っていたところ、昨年七月ごろ、日本人の卸売業者と知り合った。
 「コウベ・マンテーガ・ジャポネース」。野沢菜は発音しにくいということで、ブラジル名を命名。フェイジョアーダに使ってほしいと社員食堂を中心に売り込んだ。
 ヴォルクス・ワーゲンのサンベルナルド・ド・カンポ工場などと契約がとれた。依田さんは実際に、納品に立ち会い、とりあえず、ブラジルを離れる気になったという。
 「一般市民がスーパーやフェイラで気軽に、手に入れることが出来るには、まだ時間がかかるかもしれません。この業者の方だけでなく、ほか方にも参入してもらって、野沢菜(コウベ・マンテーガ・ジャポネース)の知名度を上げてほしい」
 定年退職者を日本のデカセギ集住地域に派遣して、子弟の補習授業を行おうというのが依田さんの構想だ。既に、地方自治体などに請願書を送付。公営アパートをボランティアの住宅として無償貸与出来ないか、打診している。
 学生時代、選挙事務所でアルバイトなどをしていたため、政治家に知己が少なくない。帰国後には、政党に働きかけ、民意に訴えていく考えだ。
 

image_print