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天国の滞在=ブラジル人ロベルト・バグザリアさん著=日本で服役6年、刑務所の暗部を告発

6月3日(木)

 日本で六年間服役したブラジル人ロベルト・バザグリアさんがこのたび、その経験を元に日本の刑務所で実際に体験した外国人差別などを克明につづった「天国の滞在」を出版した。
 二十九日付インターナシオナル・プレス紙によると、ロベルトさんは神奈川県茅ヶ崎市で強盗を働き逮捕され、六年間、静岡県内の刑務所で過ごす。その期間、人種差別と、人権じゅうりんの現実に苦しんだ。
 ロベルトさんは「差別は日常茶飯事」と同書で告発する。ポルトガル語を使うことを禁止され、体の不調を訴えたい際、日本語の辞書の使用も許されなかったという。
 日本語を学ぶために本を借りるときは、漢字で申し込み用紙に記入する必要があった。他の服役囚が記入を手伝うと、その囚人も一緒に罰せられ、特別房に数日間入れられた。
 ロベルトさんは「特別房では正座させられ、トイレに行くことも時間を尋ねることも許されなかった。その上、床に置かれた食器の中の食事は半分に減らされており、手を使わずに食べさせられた。入浴では全身を洗える量の水を使えず、ズボンやシャツを脱ぐことも許されなかった」と回想する。
 ロベルトさんは刑務所内では明らかに外国人は差別されていると実例を示しながら批判している。例えば、日本人服役囚は図書館で色々な本が借りられ、週刊誌や月刊誌も購入できるが、外国人服役囚は本購入を申し出ても、まともに聞いてもらえない。ロベルトさんは服役中に英会話講座を申し込んだが、受講希望者が多いからダメとあっさり断られた。
 あまりの怒りから、文意が破調している場面も見られるが、インターナショナル・プレス紙は「沈黙を破りあえて書いたのは勇気ある行為」と評価する。
 服役中のロベルトさんを励ましたエヴァリスト・ヒガ神父が序文を書いた。
 

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