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前山教授が来聖=ドナ・マルガリーダ伝記 ポ語版 きょう出版会

6月23日(水)

  二十三日に行われる、伝記『ドナ・マルガリーダ・渡辺』(御茶の水書房 九六年)のポ語版出版記念会に出席するために、編著者の前山隆阪南大学教授、御茶の水書房の橋本盛作代表取締役、橋本育同編集者が二十一日に来聖し、救済会の大浦文雄理事に付添われて翌二十二日に来社した。
 前山教授は「日本語を読めない人が日系社会の圧倒的多数となり、意識も変わりつつある。政府の援助に頼るだけでなく、『できるだけみんなでやりましょう』という救済会の考え方を若い人に理解してもらうには、ドナ・マルガリーダの歴史を知ってもらうのが一番いい」とポ語版出版を意義付ける。
 翻訳には八年もの歳月がかかった。前山教授のポ語著作はこれで二冊目。生前、ドナ・マルガリーダから口述取材した抱負な内容と、詳細な調査により〃移民のエッセンス〃が浮き彫りにされた作品だ。
 同書は、前山教授の次のような考えに基づいて書かれた。「理論化、抽象化した方程式だけで人間を説明すると、全体の流れは現れるが、血の通った人物像は消えてしまう。だから理論だけでなく、文学、社会科学、哲学などが一緒になった人間研究が必要」。
 第一作目は中尾熊喜を描いた『非相続者の精神史』、二作目が本書で、三作目が三浦鑿を描いた『風狂の記者』だ。いずれも学術出版の老舗、御茶の水書房から出されている。
 ポ語版(ZIPANGO、四十レアル)の出版記念会は、二十三日午後七時から文協貴賓室で行われる。

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