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「ありがとう、ブラジル」=リマ選手と共に住める幸せ

9月15日(水)

 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)のコンサルタント部会では、約二年前から、毎日の情報やお互いの意見交換のために、ネット上でBatepapoというメーリングリストを実施してきている。ブラジル国内のマナウスからポルトアレグレはもとより、遠く日本、メキシコまで輪が広がってきている。さきのアテネ・オリンピックの競技中、ゴールを目前に、走行妨害を受け、惜しくも金メダルを逸してしまったブラジルのワンデルレイ・デ・リマ選手の「金メダルはとれなかったが、自分の満足は、それより遥かに大きい。誰も恨まない」という、あの一言が、この欄でも大きな反響を呼び、次のようなやり取りが行われた。
 立派な人生観に強い衝撃
 会議所のメンバーのみなさん、ベネズエラのカラカスに滞在中の工藤章です。
 アテネ・オリンピックは小生にとっては、忘れる事の出来ぬ大会になり、幸せです。爽やかであり大きな包容力のある人生観を持ったワンデルレイ・デ・リマ選手と出会ったからです。
 毎日毎日練習に明け暮れ、雑念や余計な欲望に屈する事なくアテネに向かい、全力を尽くすべくゲームに臨んだ事でしょう。自分のすべてを燃焼すべく、ひたすら走ったのでしょう。そしてあのアクシデントに遭遇してしまった。
 衝撃と痛みを振り払って残りの距離を黙々と走り、追い抜いて行く二人の選手の背中を見ながら、それでも走り切った。
 走り終えたリマ選手が「金がとれたかもしれない。でも、神が与えた試練を乗り越えて完走し、メダルを貰う事が出来たことに満足しています」と言ったのを聞いて、自分の耳を疑いました。こんな立派な人生観を持った人がいたんだ、と強い衝撃を覚えました。
 そして、この彼はブラジルに生まれ育ったということを改めて思い、リマ選手に感謝するとともに、自分が人生の一部をブラジルでブラジル人と共に過ごせることに感謝しています。(三菱商事中南米代表、八月三十一日記)
 さらに光彩放つことを
 三菱の工藤章さん、赤嶺尚由です。
 本日(九月七日)は、ブラジルの独立記念日のため国祭日です。そして、今日の主役の一人は、何と言っても、アテネ五輪でマラソン競技中に、走行妨害を受け、惜しくも金メダルを逸しながら、誰も恨むことなく、世界中に爽やかな感動を与えた、あのワンデルレイ・デ・リマ選手です。
 政府当局者らは、独立記念日を迎えるに当たって、国威発揚のために、手をかえ品をかえ、一躍英雄みたいになったリマ選手の名声に便乗し、あやかろうとしましたが、いくら派手に戦闘機を飛ばしたり、戦車を走らせて誇示しようとしても、所詮リマ選手の清潔感と政治家の腐敗色(臭)とは、言わずもがな、相容れず異質のように思えてなりません。
 かてて加えて、本欄における「リマ選手に感謝するとともに、自分が人生の一部をこのブラジルで過ごせることを誇りに思う」という三菱商事中南米代表の工藤章さん(商工会議所前会頭)から発信されたメールが、いかにもComovido(感動的)であったために、なかなか忘れられません。「工藤発言」には、この国で一時的に過ごす一駐在員の節度、気遣い、思いやり、といった美質が一杯詰まっているように考えられたからです。
 いかにも感動的なあの言葉を口にしたマラソン銅メダリストのリマ選手は、物質的には決して豊かではありませんが、それだけにこの国のレーゾン・デートル(存在価値)を一番発揚すべき今日の独立記念日には、最も似合いそうな主役の気がしてなりません。この国では、現在、激しい貧富の格差や失業などを主因に、強盗殺人などのさまざまな社会反罪が発生して、混沌とした状況の中にあります。
 しかし、爽やかな人生を送っている立派な国民もまだ数多くいます。リマ選手の素晴らしい発言が一段と重みを帯び、さらに光彩を放つことを切に願っています。(ソールナッセンテ人材銀行代表、九月七日記)。

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