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コラム 樹海

  国連総会の演壇に立ち「銃かオリーブか」と叫び、ノーベル平和賞を手に「パレスチナ独立」の夢を語り続けたアラファト議長が死亡し、カイロで葬儀。遺体はヨルダン川西岸のラマラに埋葬された。あのアラブ民族に特有なマフラーのような「イマーム」を頭から右肩に流してのスタイルと笑顔は人々を魅了し人気の秘密でもあった。死地を何回となく脱した「不死鳥」も病には勝てずついに黄泉へと旅立つ▼アラフットにはイスラエルとの共存を誓った「オスロ合意」を始めとしてパレスチナ人の夢である独立を訴えた功績は評価していい。元々は英国の二重外交によって誕生したイスラエル国家から発生した問題ながら、これによって追われたパレスチナ人にとっては、どうしても独立した自分たちの国をつくりあげたい。この民族的な運動にカイロの大学生のころから携わり指導者になった人である▼このように中東和平の鍵を握る人物であったし、民族闘争の英雄とされることも度々である。だが、批判的な見方も多い。イスラエルへの抵抗である「インティファーダ」を黙認し、強攻派の制止に動かなかったの非難も少なくはない。この過激な動きが刺激となってシャロン首相による自治区攻撃になっているの事実もある▼「パレスチナと結婚した」の独身主義をやめ還暦に至って結婚したスーハ夫人はパリでの優雅な暮らし、不正資金の洗浄でフランスから容疑を受けてもいる。アラファト議長には、遺産とされる三億ドルの問題もあるし、真に謎の多い人物でもある。 (遯)

04/11/13

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