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ベレンの原田さん入選=「歌会始の儀」お題「歩み」で

12月28日(火)

 宮内庁は二十七日付で来年一月十四日に皇居・宮殿で開かれる「歌会始の儀」の入選者十人と、天皇陛下に招かれて歌を詠む召人(めしうど)を発表した。ブラジルのパラー州べレン市在住の原田清子(88)さんが、最高齢者で入選した。
 今回の題は「歩み」で二万七千四百九十八首の応募があった。海外からの応募は二十二の国・地域から寄せられ、点字での応募も六十五首あった。入選者のうち、最年少は大阪市東住吉区、私立明浄学院高三年、中田久美子さん(18)だった。召人は歌人・清水房雄さん (89)=本名・渡辺弘一郎=が選ばれた。
 愛知県出身の原田さんは、三七年にアマゾナス州パリンチンスに入植、高拓生の夫と三十年間ジュート栽培に従事した。その後べレン市で食料品店経営や農場管理などで生計を立て十五人の子供を育てた。
 原田さんは「なにか夢の中にいるようです。お題の『歩み』が、私の人生そのもので、波長の合った短歌になり、入賞できました。しかし、私はアマゾンに七十年以上も生活しているので、寒いところはまったく苦手なので、儀式出席は遠慮させていただきます。短歌は母親が詠んでいたので、私も思いついたときに日記などに書いていた。パリンチンス入植後は月一回の会報に時々投稿したぐらいで、全くの我流です」また「九六年に天皇陛下が来られたときに「君が代は、涙となりて我移民、今アマゾンに天皇を迎う」と詠みました」と述べた。
 他の入選者は次の通り。(敬称略、年齢順)
 熊本県小国町、元団体職員、穴井京司(84)▽長野県塩尻市、主婦、川上みよ子(79)▽同、農業、丸山健三(79)▽同県佐久市、同、木内重秋 (78)▽山口県周南市、元図書館職員、森元英子(71)▽山梨県昭和町、北杜市立図書館長、深沢完興(68)▽鹿児島県東市来町、無職、室之園てるみ (68)▽福島市、同、森源子(57)

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