ホーム | 日系社会ニュース | 再建なるか アセル会館=首脳ら意向示す=長老・沼田さんが要望=「ぜひ市中心近くに」=懐古になりがち新年祝賀会の祝辞

再建なるか アセル会館=首脳ら意向示す=長老・沼田さんが要望=「ぜひ市中心近くに」=懐古になりがち新年祝賀会の祝辞

1月21日(金)

 【ロンドリーナ】〇五年元旦、午前九時から、アセル(ロンドリーナ文体協)主催の新年祝賀会が、昨年十一月に売却された本部会館で行われた。最高齢の沼田信一さん(86)はじめ、八十二人が参加した。会館を使用できるのは今年まで。役員側から「新会館は建設される。検討に入る」という計画が示された。長老の沼田さんは、売却した代金から、(新会館の)敷地代が残らなければ、新たにその資金を募金すべき、市中心街に建ててほしい、と「私見」を述べた。

 土屋さんの司会で、先亡者の霊に対し一分間の黙祷、日伯両国国歌斉唱。鈴木勇会長のポ語あいさつ、平間靖旺評議員会議長の日語あいさつについで、蔵本強弁護士、日語教師の加藤喜代子女史、沼田信一さんが祝辞を述べた。
 「年の始の歌」を斉唱して式を終了、会場をかえて乾杯、アセル婦人部のつくったお雑煮に舌鼓をうって新年とアセルの前途を祝した。祝賀に訪れた会員たちは、本館の敷地が売却された直後だけに、関係者のあいさつ、祝辞に注目していた。鈴木会長、平間議長のあいさつ要旨はつぎのようであった。
 「アセルの新年祝賀会をこの会館で行うのは最後と思われる。来年は、新しい会館で催すことを目標に、希望を抱いている。アセルが消滅、解散したわけではなく、ますます一致団結して、これからも活動が継続される。新会館は、どのようなものをつくるか、どこにつくるか、どのような経営法を選ぶか――今後建設委員会と各デパルタメントの部長、アルキテットらと協議、検討して具体案をまとめることにしている。アセルは五五年に創立され、今年五十周年、この間多くの先輩たちが亡くなったが、この人たちのお陰で現在のアセルが存在している。今後は三世、四世の時代にふさわしいアセルを建設しなければならない、と思う」。
 加藤女史の祝辞要旨。「この会館は八五年に落成し、日本人移民とその子孫にとって、さまざまな行事、イベントの場として、なつかしい思い出がたくさんある。会館は、ロンドリーナ日系人になくてはならない貴重な存在だった。売却されて、その恩恵の大きさをひしひしと感じている。建設に尽力した先人たちの御霊に対し、申し訳ないと感じているのはわたしだけではないと思う。今回、今までと同じ場所で、両国国旗のもと、新年祝賀会を挙行できたことにほっとしている」。
 沼田信一さんの祝辞。「借金がたまっていれば、一応、会館を売り払うというような行き方を取らなければならなかったか、とは思う。しかし、売り払って新しい会館ができないようでは、どうにもならない。私見だが、ここ(会館)を売って、カンペストレ(十五アルケールの面積がある野球などのスポーツ施設)に、新しい会館をつくらなければならない、ということもないのではないか。こうした文化会館は、市の中心から近いところが適所と思われる。会館をつくる金は残るが、敷地を購入する資金が不足するとなれば、敷地分の金を新たに集めればいい。アセルには、三百人のレミードの人たちがおり、何十年も会費を徴収されていない。そこで、もう一回、こうした人たちに寄付してもらって、四つか五つのダッタを購入して会館を建て、今度こうした寄付者からも会費をいただく、という条件であれば、金は集まるのではないかと思う。わたしは高齢で、いつ亡くなるかわからないが、今年や来年くらいまでは、元気でいられると思うので、寄付をさせてもらいたい。市街地中心に文化会館を建てていただければありがたい」。(中川芳則通信員)

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