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会議所=業種別部会長懇談会=好況に沸く産業界=連載(上)=続く好調明るい年始「ルーラ再選の確率高い」

3月1日(火)

 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)の総務/企画戦略委員会共催の「業種別部会長懇談会」が二十三日午後、サンパウロ市内ホテルで開催され、百人を超える参加者は最新の経済動向に真剣に耳を傾けた。十一部会に別れて約十分間ずつ「二〇〇四年の回顧と二〇〇五年の展望」を語るもので、会議所最大の年中行事。昨年は大半の業界で好調、数年ぶりの好況がかもす熱気に会場はつつまれた。昨年ほどではないが、〇五年も比較的好調との予測が主流を占めた。
 冒頭あいさつに立った田中会頭は、ルーラ大統領五月訪日を踏まえ、「今年は日伯関係強化の年。ブラジル経済団体との連携を密にしていきたい」との抱負を語った。また百五十から百七十社程度あると推測される、会議所未加入の日本進出企業に対し、新規会員獲得活動を活発化させるとの方針を述べた。
 最初に報告したのはコンサルタント部会。まず赤嶺尚由副部会長(ソール・ナッセンテ)が政治状勢を講演し、〇六年の大統領選挙に関して「一部伯字紙には、このままの状勢で推移すれば八〇%の確率で再選されるとの予測があるが、少々大げさ」としつつも、再選の可能性は高いと予測した。そのための重要な決め手はインクルゾン・ソシアル(貧困階級を一般社会に組み入れる活動)と断じた。
 次に同部会の山下晃明副部会長(ヤコン)は経済分野に関して「昨年の指数は概ね良好」とまとめた。政府への注文として税金の簡素化、高金利の是正をあげた。エタノールの輸出には、「港湾施設などのインフラに問題があり、安定供給は絶対大丈夫とは言いがたい。しかし、日伯経済関係活性化のチャンスであり、なんらかの進展が期待される」と語った。
 金融部会の銀行部門で大島健一部会員(東京三菱)は「昨年は景気拡大を示す一年だった。年初の予想を越えて良かった。特に輸出は記録的に伸びだった」と総括。今年の展望を「インフレ懸念はあるが、引き続き安定成長。GNP三・七%前後成長、金利は一六・七五%にもどるのでは」と予測した。
 同部会の保険分野でも昨年十一月末で収入保険料が三百三十二億レアル(一兆三千億円)で二二・三%の増加率との報告があり、「非常に大きな成長市場」とした。貿易部会も昨年は三百三十七億ドルの貿易黒字(前年比三二%増)と史上最大だったことを強調し、今年も二百五十億ドル程度の黒字になると予測した。
 化学部会でも加盟社十四社中、七割は増収増益だった。機械金属部会では昨年は各分野とも微増。繊維部会では二宮徹部会長(東洋紡)が報告。昨年は選挙特需でTシャツ需要があり糸が良く売れ、絹糸も日本向けが久々によかった。「昨年は各社とも二〇〇〇年以来の好業績だった。今年も昨年並みの好調を維持したい」との期待感を述べた。                                         つづく

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