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南米唯一の和紙専門店=多様なニーズ注文途切れず=サンパウロ市「ワールドペーパー」

4月13日(水)

 ラテン・アメリカ唯一の和紙輸入販売専門店がヴィラ・マダレーナ区にある。
雲竜、友禅といった日本直輸入の和紙に彩られた店内。柔らかい和紙の色合いが雰囲気を穏やかにさせている。
 「約五百種類の和紙を用意しています」と胸を張るのは、オーナーの鈴木セシリアさん。元々は版画家。世界中の展覧会などに網膜をテーマにした作品を出品してきた。受賞回数は四十七に上る。
 アーティスト活動は〇〇年を契機に休止、現在は旅行関係の会社を経営しつつも、和紙の普及に努める。 取引先の八割は、USPやUNICAMP、MASPなどを含む全伯五十以上の大学、博物館、資料館など。というのも「和紙が本の修理、装丁に最適ということで注文が引きも切らない」という。
 その他には、インテリアデザイナーや建築家が、家屋やランプなどの材料として購入するという。もちろん書道愛好家や折り紙などのニーズも高い。
 セシリアさんと和紙との出会いとなったのは知人から、〃イノマチ〃について聞かれたことから始まる。
 井上ゼルバジオ元コチア産組会長と夫人ルシーラさんに”イノマチ〃について訪ねたところ、土佐和紙で名高い高知県井野町のことを知る。井上氏の従兄弟が紙を漉いていることも聞き、興味を持った。
 井上夫妻と懇意だった旅行代理店「ブラスヴィア」の石井久順氏に訪日した際、横浜にある和紙専門店から和紙のサンプルを購入してくれるよう頼んだ。
 和紙の繊細さと美しさに魅入られたセシリアさん。ルシーラさんと共に「ワールドペーパー」を九六年オープンさせた。
 「日系人にしか知られてなかった和紙の存在もこの十年でかなり知られるようになりました」。日本ブームの影響もあってか、部屋の内装に使用する人もおり、写真のアルバムや結婚式のコンヴィッチなどにも多く利用されているという。
 セシリアさんは、二年に一回は日本を訪れ、日本の和紙業者とも密接なつながりを持つ。障子紙、千代紙なども多くの種類を揃えているが、特別な注文は日本から郵送で発注することも可能だ。
 昨年六月にはEXPOを行い大成功。今年八月にはちぎり絵、押し絵、折り紙など「和紙の使い方」をテーマにEXPOを開く予定だ。
 セシリアさんは「和紙に興味のある方、はぜひお立ち寄りください」と呼びかけている。
 値段などの問い合わせはワールドペーパー(電話=11・3082・8999)かHP(www.worldpaper.com.br)まで。

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