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谷氏辞退、争いに終止符=緊急会見「当初の目的達成」=上原氏と握手=協力を表明

4月30日(土)

 「このままではコロニアが割れてしまう。上原会長がレオポルジーナ案を止めたことで、我々は選挙に出た目的の半分以上を達成した」。文協会長選挙に関して、谷広海候補が辞退することを文協会議室で二十九日午後二時過ぎ、正式に表明した。谷候補は「パラベインス」と祝辞を贈り、上原会長は「確かに私たちも間違ったこともやってきた。この選挙で勝者はいない。これから一緒に働きましょう」と握手を交わした。一カ月半の運動期間中、コロニアから大きな関心を集めた今回の選挙は、ギリギリの段階で矛が収められた。
 午後二時からの話し合いには谷候補のほか、小山昭朗、諸川有朋、徳力啓三の三氏が、文協側からは上原会長、吉岡黎明、伝田英二、松尾治ら三副会長、選挙管理委員会からは山内淳副委員長が出席した。
 最初に谷氏は、レオポルジーナ案を中止する件を確認した。「百周年協会の担当グループと日系研究者協会代表が昨晩、先方の投資家グループと話し合いをもち、中止を申し入れて受け入れられた」と上原会長は報告し、谷氏は「感謝する」と述べた。
 加えて、「これで最初の目的の半分は達成された。あとは定款を改正して、若い人が六~七人でもシャッパを組めるようにし、さらに民主的な選挙制度にしてほしい。また、会員への接客対応を良くしてほしい」などと谷氏は要請した。
 小山氏は「我々も上原会長には大変な敬意を持っているが、最初からもっとコロニア一般の声に耳を傾けていてくれれば、このような選挙もなかった。その点をしっかり約束して欲しい」と語った。
 谷氏は立候補を辞退する理由としてさらに、下本陣営が上原陣営と組むことを二十八日に表明した点や、現在の選挙管理規程では委任状を戻してもらえるのは代理人だけで、現状では前回投票した代理人の多くが外国など遠くへ旅行していたり、地方在住者でもう一度投票に来てもらうことが難しく、委任状のかなりの部分がもう使えないため、と説明した。
 また、「我々はただ辞退するだけでなく、いつでも日系社会のために働く準備がある」とし、百周年などに協力する意志があることを強調した。
 これに対し、頷きながらじっと聞いていた上原氏は「選挙によってコロニアを動かすことができた。これは大きな成果。今回の選挙で誰が勝ったということはない。一緒に働きましょう。今日は美しい日になった」との胸中を語った。
 二十七日に谷氏が裁判所に決選投票を中止するよう仮処分申請した件は、「協会内で決めた方がよい」との裁判官の判断で、翌二十八日に裁判官からさし返され、谷氏は同日に再申請した。「同じ裁判官に申請しているから受理されるのは難しいでしょう」とも。ただし、取り下げはしていない。
 小山氏は「裁判は相談して決めたことなので、早急にみんなと話し合いたい」と取り下げる意志があることをほのめかしたが、明言は避けた。
 「日本にはいい言葉がある。『雨降って地固まる』です」――。そう谷候補は説明し、上原会長は「三つのシャッパの人全員に集まってもらい、いつか一緒に写真を撮りましょう」と提案した。

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